「一般職や専門職、どちらで就職した方が良い?」
「一般職希望だけど、専門職にも興味がある」
「専門職希望だけど、一般職の方が向いているかも?」
新卒の場合、希望する職種に向けて努力を積み重ねてきた人も多いことでしょう。キャリア採用を希望する場合、希望した仕事や企業で働いてみたものの何か違うかもと悩んでいるかもしれません。
この記事では、一般職と専門職の仕事内容や特徴、それぞれの職種に向いている人をご紹介しています。ぜひ今後の就職にお役立てください。
もくじ
一般職と専門職の特徴について
就活サイトなどで「一般職」と「専門職」とカテゴリ分けされることもありますが、そもそも一般職とは入社してはじめて役割が分担される言わば「就職の仕方」で、専門職とは「職種の分類」を指すことが一般的です。
ここでは、一般職と専門職の特徴について詳しく解説していきます。
一般職の特徴
一般職は、総合職の対になるポジションで、新卒採用の募集要項も「総合職」と「一般職」に分けられることが多いです。企業によって多少の違いはるものの、一般職とは次のような特徴を持っています。
- 仕事内容は一般事務
- 短期大学卒もOK
- 勤務地が限定されている(本社勤務など)
- 転勤がほぼない
- 異動がほぼない
- 女性が多い
- 採用人数が少ない
主に総合職スタッフのサポートとして書類作成や電話対応、お客様対応など社内での業務を担当します。運動部として例えるならば、総合職スタッフがプレイヤーで一般職スタッフはマネージャーといったところです。プレイヤーだけでは企業はまわりません。マネージャーである一般職のサポートがあって、はじめてプレイヤーが円滑に仕事をこなせるのです。
一般職が女性に人気の理由は日々の安定感
一般職は女性に人気のポジションですが、その理由は転勤や異動がなく、プライベートを重視して働けるメリットがあるからです。特に大手企業であれば、総合職は全国・海外へ転勤する可能性がありますが、一般職は勤務地が限定されています。それぞれの住まいから通える場所で就職活動を行うのが一般的ですが、全国に拠点のある大手であれば、結婚後パートナーの転勤に合わせて勤務地を異動を許可する企業もあります。
また、結婚・出産などのライフイベントに合わせて育休・復帰しやすい環境であることも人気の理由です。反面、仕事内容が限定的でキャリアアップが難しく、バリバリ働きたい・チャレンジしたいといった働き方を希望する人には物足りないかもしれません。営業担当のように成績が目に見える仕事ではないためインセンティブ制度などもなく、給与も総合職に比べて低く設定されていることがほとんどです。
さらに言えば、大企業に一般職として入社し、総合職のパートナーを見つけたいという女性も実際のところ多く、一般職に人気が集まる要因の一つと言えるでしょう。
一般職の倍率は高い
一般職は採用人数が少なく、人気のある企業だと実は総合職に比べて狭き門なのです。
日本を代表する総合商社である伊藤忠商事では、毎年社長の挨拶が発表されています。2015年の入社式でこのような発言がありました。
本日ここに、総合職128名、事務職12名、合計140名の新しい仲間を迎えることができましたこと、大変嬉しく思います。今年度の筆記試験受験者数は、総合職で9,511名、事務職で2,219名でした。その倍率は実に総合職で74倍、事務職では184倍であります。みなさんはこのような超難関を突破し、選ばれて伊藤忠商事に入社されたわけであります。
総合職が74倍なのに対し、事務職は184倍と2倍以上の倍率だったことがわかります。2021年の入社式では倍率について言及していなかったものの、総合職が102名、事務職が13名でしたので、2021年卒も高倍率だったことが伺えます。
そもそも転勤や異動の多い総合職に比べて、一般職は同じ部署・同じ勤務地で長く働く人の多いポジションのため、誰かが退職しなければ席が空くことはありません。必要な人数も総合職に比べて少ないのです。
AIに仕事を奪われる・転職に不利という情報は誤り
一般職の仕事内容は多岐にわたります。配属される部署によっても異なりますが、書類作成や電話対応、来客対応、他部署との調整などが多いです。専門的なスキルを要することのない仕事も多いため、転職する際に不利だと言われることもありますが、総合職と違ってプライベートの時間も確保できるので、その時間を資格勉強に充てられます。転職に100%不利だとは言い難いでしょう。
また、昨今ではAIに仕事を取られてしまうのでは?という懸念点も出ていますが、便利なIT技術やプログラムソフトがあってもそれを円滑に動かすのはやはり人ですので、ITやパソコンに強い一般職は重宝されるはずです。それに、一般職は人を思いやる心や人の心を読み取る力、行動を先読みする力を要しますので、完全にAIが取って変わることはないでしょう。
専門職の特徴
専門職とは文字通り専門的な分野を取り扱う職種のことです。総合職や一般職とはまた違ったフィールドにあると考えてください。代表的な専門職は、医師や看護師、弁護士、国家専門職、教師・教諭、保育士、看護師、調理師といった資格が必要な職種があげられます。また、エンジニアやプログラマー、デザイナー、クリエイターといったクリエイティブな職種も専門職です。住職など宗教関係の職種、俳優や歌手なども専門職と言えるでしょう。特定の分野についての知識やスキル、経験が重要になります。
総合職や一般職は組織や企業に入ってから役割を割り振られることに対し、専門職は職種指定で企業や組織に所属されることが一般的です。
専門職が人気の理由は「手に職」
専門職はいわゆる「手に職」を持つということです。資格やスキル、経歴、実績があれば、働く場所や手段を選ばずに食べていくことができるというメリットがあります。
例えば薬剤師。平成28年度に実施された厚生労働省の賃金統計によると、薬剤師の時給は全国平均2,200円と出ています。
【参考】平成28年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省
将来的に子供を産んで育児とパートタイムとしての働き方をしたいというキャリアプランがあれば、薬剤師の資格と経験を生かしてドラッグストアなどで働けば給与に大きな差が生まれます。育児が落ち着いたあと、薬局や病院などへブランク復帰することも可能でしょう。
薬剤師や医師、看護師のような資格が必要な専門職は仕事を始めるまでのハードルは高いですが、資格や経験を積むことで全国どこでも働き口が見つかるというキャリアプランの立てやすいという利点があります。
専門職は独立しやすい
エンジニアやクリエイターはIT業界に欠かせない存在です。IT業界の募集要項は、総合職や一般職といった分け方ではなく、クリエイター部門やエンジニア部門、ビジネス部門(営業や経理などを行う総合職や一般職のポジション)といった採用方法をとることが多く、専門職の強い業界では総合職や一般職に並ぶポジションだと言えるでしょう。
エンジニアやクリエイターは資格がなくてもスタートできる分、スキルや知識、実績で評価されます。成長しようという気持ちがなければキャリアアップは難しいですが、独立して個人事業主となったり会社を設立するなど、企業に所属しなくても生きていくことができます。エンジニアやクリエイターだけでなく、医師や看護師なども資格があればさまざまなビジネスモデルを展開できるでしょう。雑誌やコラム、テレビ番組の監修、商品開発の監修、人材派遣サービス、コンサルタントなど多岐に渡ります。
専門職の労働環境はハードな傾向
専門職は労働環境がハードな傾向があります。医師や看護師、介護士、教師・教諭、保育士、調理師といった人の命に直結するような仕事は精神的な負担も多く、エンジニアやクリエイター、芸能関係の仕事は締め切りに間に合わせるために昼夜問わず働かざるを得ないこともしばしばあります。一般職と比べて給与は高いものの、過労やストレスでバーンアウトしていまう人も多いのです。
また、年齢を重ねるごとに実績やスキル、経験が重視されるため、エネルギーがあるうちに資格取得や実績作りをしなければならないでしょう。
一般職が向いている人
「一般職志望だけど、本当に私って向いているのかな?」
「いざ看護学校に行ったものの、実習がキツくて看護師として働けるか心配」
「プログラミングの勉強を進めてきたものの、黙々と作業するより人と話す営業の方が向いているかも」
一般職への就職や転職を志望している人は、このような悩みを持っているのではないでしょうか。
一般職への就職が向いている人は次のような人だと言えるでしょう。
- 給与より転勤や異動がないことを優先したい
- キャリアアップへの欲求がない
- 趣味やプライベートの時間を大切にしたい
- 仕事に人生を振り回されたくない
「勤務地が変わることは嫌だけどキャリアアップはしたい、給与もアップしていきたい」という人は、一般職よりも地域限定総合職や専門職をオススメします。どちらかと言えば、チャレンジ精神が旺盛な人よりも、日々の暮らしに安定性を求めている人が向いています。誰でもできる仕事だと思われがちな一般職ですが、顧客対応など「あなたにしかできない」と思われることも実は多く、人柄がとても重視されるポジションだと言えるでしょう。
専門職が向いている人
「一般職として働いているけど、手に職をつけて独立したい」
「専門職に進むつもりだけど、やっていけるか不安」
専門職を志望している人は、このような悩みを持っているかと思います。そこで、専門職が向いている人をご紹介します。
- 好きなことや得意なことがある
- 特定の分野にとても興味関心がある
- チャレンジ精神がある
- トレンドを追うことが苦ではない
- 自己成長に貪欲
- とは言え根底では安定性も求めている
「好きなことを仕事にしたいけど、プライベートを重視したい」という人は、正直に言うと難しいかもしれません。好きなことを取り扱っている企業の一般職に就職した方が、プライベートの時間をしっかり重視できるでしょう。成長し続けられる人、勉強し続けられる人、あともう一踏ん張りができる人、誰かのために役に立ちたいという強い想いを持つ人が専門職に向いていると言えます。
【まとめ】一般職と専門職は全く違うフィールドにある
一般職は入社後にどのような仕事をするかが割り振られるのに対し、専門職は特定の仕事をするために企業や組織へ入ります。この点から、全く違うフィールドにあると考えて良いでしょう。
「自分はどちらの方が向いているのだろうか?」と悩んだ時は、自己分析をしてみましょう。今まで気づかなかった自分の価値観に出会えるかもしれません。
投稿者プロフィール
- 新卒入社した企業で大失敗!入社1ヶ月で退職し、某大手通信会社のグループ企業へ転職。結婚を機にフリーランスになり、個人事業主6年目。「就職失敗→転職→独立→結婚・出産→ワーママ」という経験を活かして、現在は採用メディアや金融メディアでライターをしています。3級FP技能士保有。趣味は投資の勉強と旅行です♪