「企業研究のやり方が知りたい」
「そもそも企業研究って何を調べたら良いの?」
このような疑問を抱える就活生に向けて、企業研究のやり方を解説します。
企業研究で調べるべき項目や調べ方、企業研究のやり方手順、ライバルに負けないためにより深く企業研究するコツなどもご紹介しています。
これから企業研究をスタートする就活生の皆さんは、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
企業研究で「もっと知りたい」を解決できる
企業研究のやり方について大まかに説明をすると、企業研究とは会社のプロフィールや性格を知ることです。好きなアイドルやアーティストについて「もっと知りたい」と思う気持ちに似ているかもしれません。
ある曲をきっかけにとあるアーティストに興味を持ったとして、そのアーティストのプロフィールやこれまでどんな曲を出しているのかが気になる人は多いかと思います。さらに言うと、どんな性格なのか・どんな価値観を持っているのかといったパーソナルな部分も知りたくなったり、あるいはSNSでアカウントをフォローして最新の情報や今後の活動予定を把握したくなるものです。
企業研究は、ともすれば淡々とした作業になりがちですが、調べることが作業になっては企業研究の本来の意味を果たすことができません。まずは企業研究をすべき理由を知り、そこからリサーチのポイントややり方を解説していきます。
企業研究をすべき理由
企業研究がどのようなことに役立つのか、どのようなことへ役立たせたら良いのかを見ていきましょう。
企業研究をすべき理由は以下の3つに集約されます。
- 入社後の後悔を防ぐ
- 志望動機が充実する
- ESや面接時の自己PRに役立つ
①入社後の後悔を防ぐ
企業研究は、入社後の「こんなはずではなかった」という後悔を防ぎます。
よくある失敗として、「大手というブランドに惹かれた」「よくサービスや商品を利用するから何となく楽しそうだなと思った」「CMでよく見かけるので馴染みがあった」などの理由です。企業に興味を持つきっかけとしては問題はありませんが、入社するとなると事業内容や仕事内容は最低限知っておくべきことです。
②志望動機が充実する
企業に関する情報を集めていくと、思考が整理されていきます。社会に出てから自分は何をしていきたいのか、どういった形で社会貢献をしたいのか、どういったことのやりがいを感じるのか、といった思考です。そしてこれらは志望動機となります。
企業研究は、志望動機を充実させます。「ネームバリューで選んだ」「何となく良さそうだから選んだ」というような志望動機は、採用担当もすぐにわかるものです。なぜこの会社なのか・何をしたいのかがはっきりした志望動機を書けるよう意識して企業研究に取り組んでみてください。
③ESや面接時の自己PRに役立つ
企業研究に取り組んだというプロセスは、ESや面接時の自己PRに生かされます。そのためには、企業研究を進める時に「自分自身がどう感じるか」と考える癖をつけると良いでしょう。そこで疑問に思うことがあれば、またその項目について調べていきます。
そうすることで、面接時に予想していなかった質問が来ても対応できる力が養われます。
企業研究でリサーチすること
次に、企業研究でリサーチすることをご紹介します。
企業研究でリサーチすること
- 基本情報
- 事業内容
- 社風・キャリアプラン
- 強みや弱み
- 課題と将来性
①基本情報
会社の基本情報は、企業研究の第一歩です。情報はコーポレートサイトやリクルートページから入手することができます。
- 会社名
- 本社・支社
- 会社設立年
- 従業員数
- 事業概要
- 資本金
- 上場区分
- 連絡先
- 企業理念
- 経営理念
- ビジョン
- ミッション
②事業内容
事業内容もコーポレートサイトやリクルートページから調べることができます。事業内容についていまいち理解ができない時は、企業が属する業界についても研究してみてください。
- 事業内容
- 事業領域
- 顧客は誰か
- 顧客のターゲット層
- 仕事内容
③社風・キャリアプラン
社風やキャリアプランは、働き方、働きやすさに関わる部分です。個人の価値観に合う合わないが大きく分かれる部分ですのでしっかりチェックしておきましょう。
- 社風
- 平均年齢
- 男女割合
- キャリアプラン
- 離職率
- 平均年収
④強みや弱み
会社の強みや弱みは、この企業でなければいけない理由に直結する項目です。
強みの調べ方は、コーポレートサイトやリクルートページに書かれていることが多いので見つけやすいですが、弱みを書く企業は少ないでしょう。弱みを見つけるには、四季報やIR情報に掲載されている今後の課題に着目してみてください。企業として抱えている現在の弱みがわかります。
四季報とは、東洋経済新報社が出版している書籍で、企業ごとの情報や業績などが掲載されています。年4回(6月・9月・12月・3月の中旬)最新刊が出版され、書店やネット通販で購入できます。
また、オンライン版も有料で利用することができるので、今すぐ調べたいという方はそちらもおすすめです。
IR情報とは、企業が投資家に向けて経営状況や業績などを報告しているもので、売上や事業内容、今後の課題が読み取れます。通常コーポレートサイトで公開され、誰でも閲覧が可能です。
⑤同業他社・競合他社との違い
同業他社・競合他社とは、同じ業界・業態・事業内容を持ち、同じターゲットへ向けてサービスや商品を提供している他の企業のことです。同業他社・競合他社との違いを知って、なぜこの会社なのか?をさらに明確化していきましょう。
この際に役立つのが4P分析です
- product(何を)
- price(いくらで)
- place(どこで)
- promotion(どのように)
4P分析とは実際の企業戦略で使われる分析手法です。経営がうまくいかない時、新事業をはじめる時に用いられるため、他社と差別化される部分でもあります。「どのような製品やサービスを」「どういった価格帯で」「どのような流通方法で」「どう売り出しているか」を分析すれば、他社との違いがわかります。
⑥課題と将来性
企業の今後の課題と将来性を調べる理由は、倒産など会社がなくなってしまう可能性を知るためです。そういったリスクを回避するためには、企業の状況を四季報やIR情報で確認したり、業績の動向を確認しておきましょう。
業績の動向を確認する方法は、業界研究に関する書籍が役立ちます。なかでも四季報と同じ東洋経済新報社が出版する四季報の姉妹本「業界地図」は就活生の間で利用者の多い業界研究書籍です。業界地図には業界の種類や規模、業績、提携業界、資本の結びつきなどが掲載されており、企業選択の幅を広げるのにも大変役立ちます。
企業研究のやり方手順
企業研究で何を調べれば良いのかの大枠が掴めたところで、実際のやり方手順をご紹介します。調べた内容はノートなどにメモしておくと、エントリーシートを書く際や面接時に活用できます。
企業のリクルートページや企業概要を見る
企業のリクルートページやコーポレートサイトの概要を見れば、設立年や従業員数、本社や支店、グループ会社、資本金、代表、事業内容、業種など、企業全体の特徴が把握できます。
また、リクルートページに力を入れていれば、採用にも力を入れていることがわかります。
採用に力を入れている理由として挙げられるのは、会社のブランディングをとても大切にしているため採用ひとつとっても力を抜かずに徹底しているというケースや、新規事業への参入や事業拡大のためであったり、事業規模が大きくなったので増員したいというケースも考えられます。また、会社規模と採用人数の割が合わなければ離職率が高いのかもしれません。
業界研究を行う
業界研究は、企業の事業内容を深く理解するだけでなく、業界全体を把握するのに役立ちます。先程ご紹介した業界地図の他にも、業界団体のホームページも参考になります。その業界内で複数の企業へエントリーを予定しているのであれば、企業研究より先に業界研究をしておくと企業の幅が広がりますし、業界へのイメージと実際のギャップを知ることができます。
企業説明会に参加する
企業説明会は、実際に働く社員と話す機会です。データだけではわからないリアルがわかります。
志望度の高い企業であれば、説明会に参加する前に企業研究をすませておきましょう。そこで解決できなかった疑問を解消するため、また自身で調べた内容が一致するかを確かめるために参加します。
志望度はそこまで高くはなく、まずは会社の雰囲気を知るために参加するという場合もあるかと思います。そんな時は、調べればわかりそうな企業に関する質問は控え、社員個人に対してやりがいに感じることや会社で気に入っていることなどを質問してみると良いでしょう。
OB・OG訪問をする
OB・OG訪問は、志望している企業で働く先輩を訪問し、より込み入った企業の情報を知る機会です。大学のキャリアセンターが主な窓口となり、連絡先を教えてもらいます。
OB・OG訪問する際も事前に企業研究しておきましょう。先輩も忙しい中時間を割いてくれているので、あらかじめ質問内容をまとめ、吟味しておきます。わざわざ先輩に聞かなくても解決できる項目があるかもしれません。
OB・OG訪問では、企業研究を進める中で生じた疑問を解決するほか、社内の雰囲気や人柄、キャリア形成(昇進への考え方や育休取得後のキャリアなど)、先輩が感じているやりがいや今後の目標についてもインタビューしてみてください。
OB・OGがいない場合は、インターンシップや座談会が社内の雰囲気などを知る良い機会です。チャンスがあれば、ぜひ参加してみましょう。
より深く企業研究するコツ
人気のある企業は、当然応募する就活生の数も多く、競走倍率が高くなります。そこで、ライバルよりもさらに深く企業を理解するためのコツをご紹介します。企業への深い理解はエントリーシートの記入や面接時に大変役立ち、ライバルと内容の差をつけられるでしょう。
転職サイトを見る
転職サイトは、すでに社会経験があり、何らかの理由で転職を希望している人が利用するため、より会社のリアルな情報が掲載されています。
配属される部署や勤務地は入社後に決まることの多い新卒採用向けのリクルートページに比べ、キャリア採用は自身のこれまでのスキルが生きる仕事を選ぶのが一般的です。ですので、配属先や具体的な仕事内容、必要なスキル、勤務地が明確に記載されている場合が多いのです。
また、社長からのメッセージや社員インタビューに関しても、より会社のリアルがわかる内容になっています。社風も見えやすく、どのような人物が求められているかが見えてくるでしょう。
企業のIR情報を見る
IR情報を活用するメリットは、ニュースや就活情報サイトよりも信頼度が高い一次情報が手に入ることです。IR情報は、四半期決算に合わせて年4回更新されます。
四半期決算は、6月末の第1四半期決算、9月末に第2四半期決算(中間決算)、12月末に第3四半期決算、3月末に第4四半期決算(本決算)に実施されます。
就活のスケジュールは大変長いスパンですので、最初に企業研究した時と今後では状況が変わっている可能性も十分考えられます。決算シーズンになると、これらの決算報告を確認するようスケジュールしておきましょう。
グループ会社・関連会社・提携会社を調べる
グループ会社や関連会社、資本提携会社とは、資本関係がある会社のことです。子会社の場合、親会社が子会社の株の50%を所有、もしくは50%以下でも資金源や決裁権を親会社に委ねているといったケースもあります。その他の関連会社についても、親会社が株を20%〜50%所有されているなど、いずれにせよ資本の繋がりが深いため、グループ会社や関連会社の状況も調べることで、会社の状況が見えてきます。
また、親会社へ就職するか、グループ会社・関連会社に就職するかでそれぞれメリットがあります。携わりたい事業がグループ会社・関連会社でも関与しているのであれば、エントリーの幅を広げてみるのも良いでしょう。
会社の周辺を歩いてみる
実際に会社の周辺を歩いてみると、スーツの着こなし、電話対応、表情などから、社風や会社で働く人柄、社員同士の関係性がわかるものです。ランチ時に近くのカフェや飲食店に足を運んでみるのも良いでしょう。
【まとめ】目的を忘れないように企業研究を進めよう
企業研究ではデータを集めていくことが続くため、淡々とした作業になりがちなのですが、
「本当にこの企業が良いのか?」
「この企業でなければならない理由は何か?」
「この企業でチャレンジしたいことは何か?」
という目的を忘れないように進めるのがポイントです。
1社目の企業研究を進めてみると、企業研究のやり方が見えてくるでしょう。就活のスケジュールを考えながら、効率的に進めてみてくださいね。
また、企業研究をする時は「企業研究シート」や「企業研究ノート」を作ると情報が整理され、エントリーシートや面接に役立ちます。ぜひこちらも参考にしてください。
投稿者プロフィール
- 新卒入社した企業で大失敗!入社1ヶ月で退職し、某大手通信会社のグループ企業へ転職。結婚を機にフリーランスになり、個人事業主6年目。「就職失敗→転職→独立→結婚・出産→ワーママ」という経験を活かして、現在は採用メディアや金融メディアでライターをしています。3級FP技能士保有。趣味は投資の勉強と旅行です♪