大学生活も半ばを過ぎてくると頭によぎるのが「就職活動」だと思います。就職活動を行っていく中で様々な説明会に参加し、企業の面接に挑むと思いますが、そこで必ず必要となってくるのが「履歴書」です。
今まで就職活動に関する履歴書を書いたことのない学生としては、
「履歴書はどのように書けば良いのだろうか?」
「選考がスムーズに進む履歴書を書きたい」
といった思いを抱いている方も多いのではないでしょうか?
今回は、これらの疑問を解決し、就活で失敗したくないという人に向けて、新卒採用で受かる履歴書の書き方と見本をご紹介します。
もくじ
「受かる」志望動機は一行目で採用担当者の目を引く
企業には一日数十件、数百件の履歴書が届くため、志望動機の一行目で採用担当者の目を引くことが出来なければ、それ以降は読まれないという可能性もあります。「え、そんなことあるの?」と思っている就活生も多いかもしれませんが、採用担当者は人材を見抜くプロです。パッと見ただけで、ある程度の人物像が思い浮かぶという採用担当者も多いでしょう。「お!気になるな」と思ってもらえるように、志望動機の一行目には力を入れるようにしましょう。
【具体例】
貴社の「先輩・後輩関係なく意見を出し合い、世の中にはないサービスを創り上げていく」という社風に魅力を感じました。~~
履歴書の書き方見本(全体)
こちらの見本は、JIS規格の履歴書を参考にしてみました。
JIS規格とは「日本工業規格(Japan Industrial Standards)」のことで、厚生労働省が管轄となっています。
JISはJapanese Industrial Standardsの頭文字をとったもので、正式名称は「日本工業規格」といい、日本の工業標準化の促進を目的とする法律に基づき制定される国家規格です。
JIS規格の履歴書をお手本として日本の履歴書は作られており、企業から指定されたフォーマットがあった場合でも、JIS規格の履歴書から大幅に変わることはありません。
こちらの履歴書を使って、一つ一つ説明していきますね。
履歴書の書き方① 基本情報
ここでは、基本情報の書き方について具体的に説明していきます。
基本情報は次の項目にあたります。
- 日付
- 氏名
- 性別
- 生年月日
- 現住所
- 連絡先(電話番号/Eメールアドレス)
近年、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人たちを尊重する動きから、履歴書の「性別」に関する記述について注目されています。企業によっては性別欄を設けない独自の履歴書を採用するという動きもあり、JIS規格の様式に問わられない動きも見られました。先ほど、『JIS規格の履歴書から大幅に変わることはありません』と記述しましたが、性別欄撤廃に関する署名運動の末、2020年7月にJIS規格の様式例が撤廃され、現状はJIS規格に沿った履歴書でなくても良いということになっているのです(現在は、あくまで『お手本』として用いられています)。
そうなると問題になるのが、就活生は何を軸に履歴書を選べば良いか、という点です。多くの就活生に混乱を招いてしまうことから、2021年に入って性別に関して「記載は任意」とした新たな案を厚労省が発表、4月16日に新しいJIS規格の履歴書として正式決定されました。
今後は性別欄の記入が任意になった新たなJIS規格の履歴書を手にすることが増えるかもしれませんので、お見知り置きください。
①日付は送付日か面接当日の日付を記載する
履歴書の右上にある日付は「送付日、又は面接日」の日付を記載するようにしましょう。必ず送付日、又は面接日でなければいけないという訳ではありませんが、数ヵ月前の履歴書を提出することは失礼に当たります。倍率が高い企業では、この時点で落とされる場合もあると言われています。
②日付は西暦か和暦で統一
こちらに関しては、正直どちらでも問題ありませんが、必ず統一するようにしましょう。
【西暦と和暦とは?】
- 西暦:2020年4月1日
- 和暦:令和頑年、令和2年
「日本では和暦が基本」とも言われてきましたが、現在はグローバル化が進み、西暦を使っている日本企業も増えてきました。ただ「どちらでも良いと言われてもな」と悩んでいる就活生は、以下のように企業の雰囲気に合わせて和暦と西暦を使い分けてみましょう。
使い分けるポイント
- 日本伝統を大事にしている老舗→和暦
- 海外進出に力を入れている企業→西暦
④住所は省略せずに書く
ポイント
- 都道府県から始まり、マンション名も省略せずに書きましょう
- 「〇-〇-〇」ではなく「〇〇丁目〇〇番〇〇号」で書きましょう
基本的に履歴書は大事な書類であるため、住所は省略しないようにしましょう。また、誤字脱字に気を付けましょう。
⑤メールアドレスはPCメールアドレスを記載
企業からのメールには、提出書類の添付ファイルが送付されていることもあり、スマホの画面が小さいと重要な書類を見落としてしまう場合があります。重要な書類を見落とさないためにも、メールは画面が大きいパソコンで見るようにしましょう。履歴書には、スマートフォンのメールアドレスではなく、パソコンのメールアドレスを記載するようにしましょう。
⑥メールアドレスには必ず氏名を入れよう
就活用のメールアドレスは「氏名」を入れて作成するようにしましょう。間違っても適当に作ったメールアドレスや、明らかにプライベートだと分かるようなメールアドレスは使用しないようにしましょう。プライベートで作成されたアドレスにニックネームを登録している就活生もおり、自動的にニックネームが氏名に表示されることもあります。これでは恥をかいてしまいますので、気をつけてくださいね。
履歴書の書き方②顔写真のマナー
顔写真はあなたの代わりとして社内での採用活動に使用される大切なものです。良い印象が与えられる顔写真を撮影しましょう。
①顔写真はスーツで!
顔写真を撮影する場合は、私服ではなく必ずスーツを着るようにしましょう。就活用の写真を撮る時も、説明会や面接に参加する時と同様の身だしなみが必要です。
就活用写真に関する詳しい内容は以下の記事を参考にしてみてください。
メイクも身だしなみの一つです。最近では女性だけでなく男性の就活メイクも主流になりつつあります。
就活メイクの方法に関しては、以下の記事を参考にしてみてください。
②顔写真のサイズは、縦4センチ×横3センチ!
証明写真のサイズは、縦4センチ×横3センチが基本です。新卒採用はアルバイトの面接と違って応募者が多数いることから、万が一写真が履歴書から剥がれ落ちてしまっても誰の写真かわかるように「氏名」「大学名」「学科名」を写真の裏に記入するようにしましょう。貼り付けする時は水のりよりテープのりがオススメです。
③顔写真は、提出日から3か月以内のものを使用!
髪型や体形の変化によって、顔写真と実際のあなたが別人に見える場合もありますので、顔写真は3ヶ月以内に撮影したものを使用しましょう。髪色や髪型を就活用に変える予定がある人は、美容室へ行った後に写真撮影するようにしてください。
履歴書の書き方③ 学歴・職歴の書き方
ここでは、以下の疑問に関して回答していきます。
- 学歴はどこから書けば良い?
- 予備校は学歴に入るの?
- アルバイトは職歴に入るの?
- インターンは職歴に入るの?
学歴は中学校卒業から!
義務教育は中学校で終了するため、その後は自分で進路を決めていく必要があります。例えば、野球が上手い人は野球で有名な高校に進学、勉強が得意な人は勉強に力を入れている高校に進学などと、様々な選択をしたはずです。採用担当者は、選考の判断基準の一つとして、あなたが歩んできた「教育環境」を知りたいと思っています。履歴書には、義務教育が終了する中学校卒業から記載するようにしましょう。
注意点
学校の名前は正式名称で記載しましょう
【NG】〇〇高校
【OK】〇〇高等学校
予備校は正規の教育機関ではないため学歴に記載しない!
予備校は、正規の教育機関として認められていないため、履歴書に記載する必要はありません。正規の教育機関として認められているところは以下の通りです。
正規の教育機関
- 小学校
- 中学校
- 高等学校
- 大学
- 特別支援学
- 養護学校及び幼稚園
アルバイトは職歴ではないため記載しない!
予備校と同じ理由でアルバイトも職歴にはなりませんので、記載しないようにしましょう。ただし、大学生でも契約社員や業務委託契約といった働き方ができる企業もあり、正社員として働きながら通信制大学に通っている人もいます。このような社会人の一員として社会で働いている経験がある人は職歴に記載してください。自己PRとしても大いに役立つ経験です。
長期インターンの経験は記載しよう
職歴にはなりませんが、多くの企業は「基本的なビジネスマナーは身についている」と認めてくれます。長期インターンの経験がない就活生と差をつけることが出来るので、積極的にアピールしていきましょう。
短期インターンはアピールにならないので記載しない!
短期インターンは、アピール材料になりにくいため、記載する必要性はありません。
長期インターン無しの人は職歴無しでOK!
長期インターンの経験がない就活生は、正直に「無し」と記載するようにしましょう。
ポイント
見本は長期インターンなしの場合で作成されています
履歴書の書き方④ 免許・資格の書き方
ここでは、免許や資格の書き方について具体的に説明していきます。
応募要項に載っている資格・免許を記載
弁護士や税理士など、資格が必要とされる職種に関しては、必要とされている資格・免許を必ず一番上に記載しましょう。ただ、必要とされる資格を保有していない場合は「なぜ保有していないのか」という理由を一言添えるようにしましょう。
例文
日本商工会議所簿記検定3級(来年2級を受験する予定です)
アピールポイントになる資格・免許を記載しよう!
MOSのようなアピールできる資格・免許は積極的に記載していきましょう。一見無駄な資格に見えますが、「新卒はパソコンを使うことができない!」という声を企業の担当者からよく聞きます。MOSのような認定資格を履歴書に記載すると、「パソコンに詳しいですよ」というアピールができます。
応募職種と関係性が低い資格は記載しない!
基本的に、就職先の会社で活かせそうな資格のみを記載するようにしましょう。例えば、デザイン関係の会社に就職しようとしているのに対して「FPの資格を持っています」とアピールしても「お!FPの資格を持っているなら採用したい」という展開には繋がりにくいと考えられます。このように明らかに活かせないと考えられる資格は、わざわざ履歴書に載せる必要はありません。
例文
資格は正式名称で記載しましょう。
【NG】英検
【OK】実用英語技能検定
履歴書の書き方⑤ 志望動機の書き方
ここでは、志望動機の書き方について具体的に説明していきます。
①最初の一行目で「なぜ応募したのか」を述べよう!
1つ目のポイントは、志望動機の一行目で「なぜ応募したのか」を分かりやすく説明することです。一行目で採用担当者の興味を引くことが出来なければ、それ以降は流し読みをされる場合もあるので注意しましょう。
良い例
貴社の募集を拝見し「未経験から税理士を目指すことが出来る」という環境や、仕事と同時並行で資格取得を目指せるというところに惹かれて、応募させていただきました。
上記の例文では、「御社でなければいけない」という理由を伝えることが出来ます。
悪い例
貴社の募集を拝見し、仕事をしながら資格取得を目指せるというところに惹かれて、応募させていただきました。
上記の例文では「他社でも良いのでは?」と思われかねません。
②応募職種に関連するスキル・経験をアピールしよう
「応募理由」を説明した後は、なるべく簡潔に「スキル・経験」をアピールしていきましょう。あまり長々と記載してしまうと「一貫性」のない文章になるので「簡潔に」を意識して記載しましょう。
例文
私は在学中に日商簿記検定2級を取得し、
TOEICスコアも800点を取得しましたので、英語には自信があります。私は、国際税務に力を入れている貴社で、これらのスキルを活かしていきたいと考えております。
上記の例では、自分の資格とスキル、そしてどのように活かしていけるのかをアピールすることが出来ます。
③応募職種に関連するスキル・経験がない場合は
勉強意欲をアピール
「企業で活かせそうな経験やスキルがない」という場合は、「勉強意欲」をアピールしましょう。
例文
私は現在、日商簿記の資格を持ち合わせてはいません。しかし、半年後の試験に向けて現在講座を受講しております。
上記の例では、資格取得を目指して勉強しているという姿勢を示すことが出来ます。また「本気度」を伝えるために、半年や3ヶ月といった期限を提示できると、なお良いでしょう。
④最後は応募先企業で実現したいことを記載しよう
企業は、長く働いてくれる人材を求めている傾向があるため、最後は「キャリアプラン」を記載しましょう。「長く働き、将来的にはこのような事を成し遂げたい」という熱意を伝えましょう。
例文
私は、強みである語学力を活かし、国際税務のプロフェッショナルとして活躍していきたいと考えております。
上記の例では、「自分が活躍している姿」を採用担当者にイメージさせることが出来ます。
履歴書の書き方⑥ 自己PRの書き方
自己PRはプラスになる経験やスキルを書く
ここでは、以下のような就活生を想定して実際に自己PR文を作成してみました。
想定している就活生
- 税理士事務所の選考を受けようと思っている
- アパレルショップでのアルバイト経験をもとに自己PR文を作成したい
例文
私は柔軟性を持って行動することができます。アパレルショップでアルバイトをしてた時は、マニュアル通りの対応はもちろん、様々なお客様のニーズに合わせた対応も心がけていました。その結果、お客様の要望を上手く聞き出すことができ、
最適な商品を紹介することができました。この経験を活かして、貴社でも様々な状況に柔軟に対応し、幅広い業務を任せていただけるように日々、努力していきたいと考えております。
アパレルショップと税理士は、一見関係のないように見えますが、どちらも「対人サービス」というところは共通しています。上記では、「様々なお客様に合わせた接客が出来る」ということをアピールすることが出来ます。
デキる就活生の自己PRは「実績」+「貢献」
履歴書での自己PRでは、これまでの人生経験の中で頑張ったことをアピールすることに重きを置きがちです。しかしながら、採用担当はとにかく時間がありません。限られた時間の中で、会社への貢献度が高い人材を発掘しなければならないのです。つまり、この就活生が会社にとってどのようなメリットがあるのかという具体的な答えを提示する方が親切であり、採用担当もこの就活生を採用したあとのイメージがつきやすくなります。
履歴書という新卒採用の第一関門を突破する就活生は、「実績」に加えて「貢献」まで具体的に提示しています。
上記の例で言えば、
実績
マニュアル通りの対応はもちろん、様々なお客様のニーズに合わせた対応も心がけていました。その結果、お客様の要望を上手く聞き出すことができ、最適な商品を紹介することができました
という実績に加えて、
貢献
貴社でも様々な状況に柔軟に対応し、幅広い業務を任せていただけるように日々、努力していきたいと考えております。
という貢献を提示しています。
なお、学生時代に力を入れて頑張ったことを、就活生の間では「ガクチカ」と呼びます。ガクチカについては以下の記事を参考にしてみてください。
履歴書の書き方⑦ 本人希望記入欄
本人希望記入欄には「貴社規定に従います」と記載しましょう。基本的に本人希望記入欄は、転職をする場合に年収や働き方などを記入するところなので、新卒の就活生が多くの条件を記載してしまうと「傲慢な就活生だな」という印象を採用担当者に与えかねません。しかし、持ち病や働き方で考慮してほしいことがあれば、遠慮せずに記載しましょう。
【まとめ】就活生は履歴書で差をつけよう!
この記事では、受かる履歴書の書き方と見本をご紹介してきました。もう一度おさらいすると、受かる履歴書の書き方は以下の通りです。
受かる履歴書の書き方まとめ
- 志望動機では、一行目に「なぜ応募したのか」を分かりやすく記載する。
- 履歴書の日付は送付日か面接日当日の日付を記載する。
- PCのメールアドレスを記載し、住所は省略しない。
- 顔写真のサイズは、縦4センチ×横3センチ。
- 学歴は中学校卒業から書く。
- 契約社員や正社員など社会人経験があれば職歴に記載する。
- 長期インターンの経験があれば記載する。
- アピールできる免許・資格を記載する。
- 自分のスキルや経験をアピールする。
- 実績だけでなく貢献できることも記載する。
- 最後は企業で成し遂げたい「ビジョン」を記載する。
「新卒採用に受かる履歴書」の書き方をマスターして、書類選考をスムーズに進めていきましょう。
履歴書と同様に重要となるのが「エントリーシート」です。エントリーシートの書き方に関しては以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひお役立てください。
投稿者プロフィール
- ウシ科 ウシ属 サイヨ牛。就活で100社落ちた経験、就職するも牛を牛とも思わない企業に嫌気がさして退職。それ以来、だれよりも求職者の手助けをしたいと考え、採用メディアを作り上げることを決意した。
採用に関する情報を銀行のように貯めて、だれもが引き出せるようにとの想いで採用バンクが誕生。特別編集長として求職者側に寄り添ったアドバイスを得意とする。
今では「サイヨ牛ケンくんは採用試験のプロ」と呼ばれるまでに至った。
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