「商社のインターンシップに興味があるけど、どうやって参加するの?」
「商社のインターンシップはごく一部の学生しか参加できない?」
「そもそも商社って何をする会社なの?」
就職先で人気の高い商社。まずはインターンシップに参加して、どんなことをしているのかを知りたいと思っている学生は多いはずです。
興味がある一方、商社と言えば、優れた実績や語学に長けた人しか入社できないのでは?という敷居の高さも感じることでしょう。
商社といっても、日本を代表する大手の総合商社から、まだ新しいベンチャーの専門商社まで幅広い企業が存在するため、必ずしも「有名大学出身でなければならない」という決まりはありません。
この記事では、「商社とは一体何をしている企業なのか」「どのような仕事をするのか」「どのような人が向いているのか」といった商社に関する基本的な知識を解説したのち、商社のインターンシップに関する特徴、各社の最新インターンシップ情報についてご紹介します。
また、商社のインターンシップ選考に突破する対策もお話していますので、商社のインターンシップに参加したい学生は、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
【基礎知識】商社のインターンシップに参加する前に
インターンシップへ参加をする前に知っておくべき商社に関する基礎知識をご紹介します。
ここでは、
- 商社とは?
- 商社の特徴
- 商社の仕事内容
- 商社が人気の理由
- 商社に向いている人
について解説しています。業界研究の入り口としてご活用ください。
そもそも商社とは?
そもそも商社とは、簡単に言うと「モノを売るためのなんでも屋さん」です。トレードを担当する会社と言うとわかりやすいかも知れません。さまざまな業界から、以下の業務を請け負っています。
- 物流および物流サービス全般に関わること(原材料や物資の調達・流通など)
- マーケティング全般に関わること(販売戦略など)
- お金全般に関わること(資金調達・保証など)
- 新事業への投資
実際に商品を作るのはメーカー(製造業)が担当しますが、商社はその前段階として、商品を作るために必要な原材料や物資の輸入・調達を行なったり、メーカーで作った商品を小売店で売るための流通を担当しています。さらに言うと、「どうすればもっと売れるのか?」といったマーケティングの部分も請け負うことがあります。
このように、海外と日本、生産者とメーカー、メーカーと小売業界などの仲介に立ち、トレードを行うことが商社の役割です。
商社の種類は2種類
商社は「総合商社」と「専門商社」の2種類に分かれます。総合商社は幅広く様々な分野を扱っており、専門商社は特定の分野を扱っているという特徴があります。
総合商社の特徴
幅広い分野を扱っている総合商社は現在日本に7社存在し、「7大商社」と呼ばれています。つまり、これらの7大商社以外は全て専門商社になります。
- 三菱商事
- 三井物産
- 伊藤忠商事
- 丸紅
- 住友商事
- 豊田通商
- 双日
このうち、「三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事」を5大商社と呼んでいます。
7大商社を合わせると、国内25都市・海外230都市以上の拠点があり、国内外で約5,000社もの関連会社を持ちます。
「ラーメンからロケットまで」といったキャッチコピーを掲げているほど総合商社が取り扱っている事業は幅広く、食料品から衣料品といった私たちにとって馴染み深いものから、宇宙ビジネスといったロマンある事業までと様々です。総合商社の中でも強みとしている事業があるので、どのような分野に関わりたいかで企業を選択することとなります。
専門商社の特徴
専門商社の分野は多岐に渡りますが、大きく3つに分類することができます。
- メーカー系
- 総合商社系
- 独立系
メーカー系はメーカーから物流・販売に関わる部分が独立している専門商社のことで、取り扱っているのは関連するメーカーの商品となります。総合商社系は、総合商社の中からより専門性の高い商品を取り扱うために独立した専門商社で、総合商社から事業投資を受けて運営されています。
これら2つには母体となる会社があるのですが、独立系専門商社はどこの企業にも属していません。専門性が高いことが多く、その専門性を生かし、トレーディング以外にも独自の商品開発やサービス提供などを行なっています。
この流れは独立系専門商社だけでなく、専門商社全体で事業投資に力を入れる傾向が強まっています。プライベートブランドの立ち上げや販売支援強化などもサポートできるという差別化をはかり、各取引企業との良きビジネスパートナーとしての役割も担っているのです。
商社の仕事内容は?
幅広い事業を展開していることはわかりましたが、実際入社したあとはどのような仕事をするのでしょうか?新卒で入社する場合は「総合職」として入社することになり、商社で総合職として勤めている社員を「商社マン」と呼びます。
総合職の仕事内容
- 営業
- 営業事務
- 貿易事務
- 事業企画
商社の花形といえば「営業」です。取引先企業とともにプロジェクトを進める仕事ですのでハードな仕事ではありますが、海外転勤や出張、大きなプロジェクトに関われるなど、やりがいもひとしおです。
そんな営業担当をサポートするのが営業事務と貿易事務です。主に社内での書類作成や打ち合わせ業務を担当します。また、海外とのやりとりもあるため語学力を活かすことができます。
事業企画は、取引先の選定やマーケティング、取引先企業へのコンサルティングなどを担当します。会社運営の核となる部分に携わることができます。
商社が人気の理由とは?
旧帝大など最上位校に通う学生にアンケートをとった「2022年卒就職人気企業ランキング(リーディングマーク)」によると、1位が三菱商事、2位が三井物産、3位が伊藤忠商事、4位が住友商事、5位がサントリーホールディングス(HD)と、上位4社が総合商社を占めています。
商社が学生に人気がある理由は次のことが挙げられます。
- 規模の大きさ
- 給与の高さ
- 仕事に熱中できる環境
特に、規模の大きさは魅力のひとつです。総合商社マンは、1つのプロジェクトで何億円ものお金を動かすことになります。このような莫大な金額での取引を行う仕事は、他の業種ではなかなか経験できないことでしょう。業務内容はハードですが、規模の大きさは金額面だけでなく、国内外問わずグローバルにビジネス展開できること、近年では地球だけでなく宇宙にまで規模が広がっているという面白みもあります。
給与面で言うと、総合商社・専門商社の平均年収は、20代で377万円・30代で540万円・40代後半で580万円と、平均より多い傾向があり、中には20代・30代で年収1,000万円以上という企業もあります。このような給与の高さも人気の理由とされています。
参考
平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】(「doda」パーソルキャリア株式会社)
商社に向いている人とは?
商社に向いている人は、挑戦し続けられる人です。大掛かりなプロジェクトを担当した時に最後までやり遂げる力がなければ、商社で働くことは困難でしょう。そして、常に新しい事業やサービスが生まれ続ける業界ですので、想定外の物事にも臆せずに立ち向かう勇気も必要です。
新しい事業やサービスを生み出していくという点では、さまざまな背景を持つ人材も重宝されています。男性社会のイメージが強いですが、総合職でバリバリ活躍する女性もいますし、国籍も問いません。むしろ、凝り固まった固定概念を覆してくれるような新しい風を欲している風潮にあります。
「最上位校出身ではないからエントリーするだけムダかも」と思わずに、本選考が始まるまでにやるべきことにトライし、価値と経験を高めていける人が商社に向いているでしょう。
商社のインターンシップの特徴
商社の事業内容や仕事内容、雰囲気などを何となく掴んでいただけたかと思います。それを踏まえて、商社のインターンシップの特徴についてお話します。
実務に直結するテーマを扱う
商社のインターンシップ期間は短期〜長期と幅がありますが、いずれも実務に直結するテーマを扱うため、入社後の働き方がイメージしやすいでしょう。
1日〜5日の短期インターンシップでは社内見学やセミナー、グループワーク、グループディスカッションが多く、1週間以上の長期インターンシップになると実務に携わることもあります。グループワークやグループディスカッションの具体的な内容としては、新事業の立案や既存事業の改善策を考察・プレゼンし、社員からフィードバックを受けるといった内容が多い傾向です。また、長期インターンシップでは、社員とともに企業訪問することもあります。
競争率が高い
総合商社は志望する学生が多いため、選考のステップを多く踏まなければなりません。
商社インターンシップの選考ステップ
- エントリーシート
- 筆記試験・適性検査・Webテスト
- 一次面接
- グループディスカッション
- 二次面接
商社のインターンシップ選考を通過するためには、本選考と同等の対策をとる必要があるのです。本選考に直結する商社のインターンシップは12月〜2月頃に開催されますので、大学3回生の夏休み頃から選考突破に向けて対策していく必要があるでしょう。商社の試験はSPI形式、GAB形式、玉手箱形式が主流で、ボーダーは企業によってさまざまですが高得点を取得できれば優位になることは間違いありません。
本選考で有利になることがある
表向きにはインターンシップが本選考に影響することはないとしていても、総合商社は各業界の中でもインターンシップ生に優遇措置をとることが多く、評価次第で早期選考の打診や内々定の確約を提案されることがあります。逆に、総合商社でも本選考とインターンシップを切り離している企業もありますので、インターンシップの選考落ちした学生も気を落とす必要はありません。
企業研究を進めていれば各社の傾向がわかりますので、気になる方は調べておくと良いでしょう。
商社各社のインターンシップ最新情報
総合商社7社および専門商社のリーディングカンパニーで開催されるインターンシップ情報は、下記のページで確認ができます。夏〜秋にかけてのエントリーとなるため、随時チェックしてください。
総合商社のインターンシップ最新情報
専門商社のインターンシップ最新情報
商社のインターンシップ選考を突破する対策
最後に、商社のインターンシップ選考を突破する対策について解説します。総合商社と専門商社で特徴の違いはあれど、商社に絞って就活を進めるのであれば、これらはおさえておきたいポイントです。
- TOEIC730点以上を目指す
- 日商簿記3級以上を取得する
- コミュニケーション力を鍛える
- チャレンジ精神を持つ
- 情報にアンテナを張る
TOEIC730点以上を目指す
特に総合商社では海外との取引を担当する機会も多くあるため、語学力に長けている学生は優位だと言えるでしょう。目安としては、TOEIC730点以上です。また、英語だけでなく中国語やフランス語など多言語を話せるスキルを持ち合わせていると、さらに優位になるでしょう。
このTOEIC730点というボーダーは、大学入試では英語の試験を免除されたり、出願要件のクリア条件となる点数で、商社に限らず英語のスキルを必要とする仕事に就くためのボーダーラインとも言われています。文科省が英語教員に求める指標も730点です。730点を超える割合は全受験者の2割程度とハードルは高いものの、時間をかけて勉強を進めれば越えられない壁ではありません。インターンシップ選考までに勉強を進めておきましょう。
日商簿記3級以上を取得する
簿記といえば経理事務の資格というイメージを持つ人が多いと思いますが、商社だけでなく社会人として知っておくべき会計の知識が身に付くため、商社では英語に並んで必須のスキルだと言われています。
日商簿記3級は基礎レベルですので、独学で十分資格取得が目指せるでしょう。社会人経験が全くないと取っ付きにくい内容かと思いますが、アルバイトでお金の管理をした経験がある人や、高校・大学で会計の勉強をした経験があれば、比較的早く取得できるかと思います。
日商簿記2級・3級のネット試験は全国各地にあるテストセンターで通年受験が可能ですので、好きなタイミングで受けることができます。
コミュニケーション力を鍛える
商社は仕入れ先や販売先との交渉力や均衡力が試されます。すなわち、これらを包括したコミュニケーション力が大変重要になってくるのです。
- 相手に強く興味関心を持っていること
- 相手の本心を理解していること
- 話をうまく伝えられること
- ユーモアがあること
コミュニケーション力を鍛えるためには、日頃から自分以外の人に興味を持ち、相手の話に耳を傾けましょう。毎日何かひとつ目標を定めて、積極的にコミュニケーションをとってください。
コミュニケーション力を鍛えるもう1つの手段として、「人の真似をする」という方法があります。コミュニケーション力が高いと思う人、この人みたいになりたいなと思う人の受け答えを観察してみましょう。発言の内容だけでなく、話をしている時の表情や動作もしっかり観察します。参考にする人は身近な人でもかまいませんし、芸能人でもOKです。参考にする人は1人に絞らず、情報番組のコメンテーターや討論番組などの著名人、お笑い芸人など複数人をピックアップすると良いでしょう。説得力のある話し方や上手な返し方、スピード感のある切り返し方を学んでいきます。
チャレンジ精神を持つ
商社は常にチャレンジの連続です。大きなプロジェクトを最後まで遂行させる根性や、時代に合った価値観を受け入れられる柔軟性、失敗を恐れず立ち向かう自信などを持ち合わせていなければ、例え入社したとしても仕事を続けることは難しいでしょう。
チャレンジ精神を鍛えるためには、何かに挑戦する時に感じる「どうせ無駄」「自分なんて」という思考を持たないことです。そして、ただ闇雲に挑戦するのではなく「どうすれば成功するだろうか?」と頭を使って道筋を考えることです。
日々の生活の中でも新しい挑戦はたくさん見出せます。アルバイト先の居酒屋で1品オーダーを多く取って売上に貢献する、というのも立派な挑戦です。目標を達成するためにどうすれば良いか?という道筋を立てて、達成できるまでPDCAサイクルを回す訓練は、いざ商社マンになった時に大いに役立つでしょう。
情報にアンテナを張る
商社で働く以上、自分の担当分野の情報だけでなく、幅広い情報にアンテナを張って情報をアップデートしていかなければなりません。商社では、異質なモノを組み合わせることで新たなサービスを生み出す手法がよく使われます。つまり、専門の分野以外の知識も広く深く知る必要があるのです。
情報にアンテナを張るというのは、闇雲に新聞やニュースの情報を頭に入れることではありません。自分がサービスを提供する側に立つという意識を持ち、あらゆる角度から物事を見られる目を持つことが大切なのです。
たかがインターンシップでと思われるかもしれませんが、商社を志望している学生にはこういった高い意識を持ってる人がゴロゴロいます。
【まとめ】商社のインターンシップは対策ありき!
商社のインターンシップに関する情報や、対策方法についてご紹介しました。
特に人気のある総合商社では、インターンシップの段階で学生に対してスキルや実績を求めています。医療や化学など特定の分野に特化している専門商社では、総合商社に比べて語学力などのスキルは問われないものの、専門性の高いスキルや経験を重要視されるでしょう。優秀な成績よりも、事業内容や企業への熱意を重視する傾向がある商社も数多く存在しますので、自分が持ち合わせているスキルや実績とマッチする企業選定が、インターンシップの選考を通過する近道と言えます。
投稿者プロフィール
- 新卒入社した企業で大失敗!入社1ヶ月で退職し、某大手通信会社のグループ企業へ転職。結婚を機にフリーランスになり、個人事業主6年目。「就職失敗→転職→独立→結婚・出産→ワーママ」という経験を活かして、現在は採用メディアや金融メディアでライターをしています。3級FP技能士保有。趣味は投資の勉強と旅行です♪