「業界研究ノートの作り方がわからない」
「業界研究ノートにはどんな項目を書けばいいの?」
業界研究を始めようとした時、このような悩みに直面していませんか?
この記事では、業界研究ノートの作り方や情報の入手先、注意点、業界研究ノートを作ったあとにすべきことをご紹介しています。
業界研究ノートを作る時、ただ闇雲に業界のデータを集めるだけでは失敗します。意味ある業界ノートを作るために知っておきたいポイントやテクニックも解説していますので、業界研究ノート作りにお役立てください。
業界研究ノートとは
業界研究ノートとは、業界研究で得た情報をまとめたノートのことです。業界研究ノートは就活に大いに役立つツールとなり、業界研究を頑張った証として自信をつけさせてくれます。
業界研究ノートを作る目的やノートの作り方を知った上で、作業を進めていってください。
社会情勢も知っていこう
これから業界研究ノート作りを進めていくと同時に、社会情勢についても理解を深めておくことをおすすめします。
社会情勢を知るためには信憑性の高い新聞やニュース(ニュースサイト、ニュースアプリ含む)に目を通すことです。誰もが情報を発信できる時代ですので、ネット上に溢れるニュースの中にはデマや偏りのあるものも多く存在します。業界研究を正しく進めるためには、一次情報に近く、個人的な意見が含まれていない、事実に正確なニュースを取り入れるようにしてください。新聞社が運営するニュースサイトや、編集・校閲が丁寧に行われている大手のニュースサイトが良いでしょう。
毎日全てのニュースに目を通すことは難しいのであれば、新聞なら見出し、ニュースサイトならタイトルにざっと目を通しておくだけでも情報や知識がアップデートされます。
業界研究ノートを作る目的
業界研究ノートを作る前に、目的を明確にしておく必要があります。目的を見失ったまま業界研究ノート作りを進めてしまうと、何のために行っているのかわからなくなってしまうからです。
業界研究ノートを作る目的
- 志望業界を見つけるため
- 業界を把握するため
- 業界を深く知るため
- 業界を比較するため
- 業界に向いている人材やスキルを知るため
- 業界研究で得たことを自分の思考へ落とし込むため
詳しく解説していきます。
①志望業界を見つけるため
業界研究ノートを作っていくと、「最初は興味があったけど理想と違った…」というイメージの違いや、「最初は興味がなかったのにこの業界の方が自分に向いていそう!」という新たな発見があります。このように、業界研究ノートには自分の志望業界を絞り込む目的があります。
とはいえ、業界の数はとても多いので、まずは自分の興味があるジャンルから研究を始めていきます。そのうち、関連した業界や合同説明会などでたまたま興味を持った業界など、徐々に幅を広げていきましょう。業界研究をしていなければ、本質的に持っていた「やりたいこと」に気づくことができない、実際入社してみると実際に思い描いていた世界と違う、というような失敗があり得るのです。
②業界を把握するため
世の中にはどのような種類の業界があるか、それぞれの業界はどのような役割を果たしているのか。ビジネス全般の構造や動向を把握することも業界研究ノートを作る目的の一つです。業界に持っていたイメージとのズレを確認することができるでしょう。
③業界を深く知るため
業界研究ノートを作る時は、業界の良さだけでなく課題にも着目しておく必要があります。業界内の事情を知ることは、将来性や成長性の理解を深め、業界内にある企業同士の関係性や、業界を跨いでの業界の関係性なども知ることができます。
④業界を比較するため
ある商品を作って消費者へ届けるには、製造業から流通業、卸売業、商社業、小売業など、さまざまな業界を経ることとなります。もしあなたが小売業に興味があったとしても、取り扱うモノがどのような流れで小売業まで届くのかを理解するため、関連する業界についても調べます。関連業界研究を進めていくと業界同士を比較するようになり、小売業よりも卸売業の方が自分に合っていたというケースも実際あるのです。
業界研究ノートは業界研究を進める軌跡となるため、業界比較にも大変役立ちます。
⑤業界に向いている人材やスキルを知るため
興味がある業界が、必ずしもあなたの実力を発揮できる業界とは限りません。業界研究を進めていると、業界の性質や性格が見えてきます。業界研究はデータに基づいて行うものではありますが、「なんか違うかも」という直感も大切にしてください。
⑥業界研究で得たことを自分の思考へ落とし込むため
エントリーシートや面接において、業界研究で知り得た知識をそのまま利用する人がいますが、それはNGです。採用担当がそれらを見たところで「よく調べましたね」と思うだけです。業界研究で得た情報や知識に対する自分自身の所感があってこそ、本当の志望動機となり、採用担当に熱意が伝わるのです。
業界研究ノートを作る前の準備
業界研究ノートを作るための準備を始めましょう。準備といっても100円ショップや文房具店、コンビニ等で手に入るものばかりです。
業界研究ノートを作る前の準備
- 業界情報の入手方法
- 業界研究に適したノート
- スクラップ用のテープのり
- 【心構え】自分の所感を残しておこう
一つずつ詳しく解説していきます。
①業界情報の入手方法
近年はインターネットから業界の情報を簡単に入手できるようになりました。就活情報サイトや業界団体のホームページ、業界内企業のリクルートページなども参考にしましょう。上場企業が投資家向けに発信しているIR情報は、経営計画や今後の課題が誰でも見られる報告書ですので就活にも役立ちます。
ネットだけでは思うように情報収集できない時は本がおすすめです。業界研究で有名な本は、東洋経済新報社が出版している「会社四季報」と「会社四季報 業界地図」です。会社四季報は企業ごとの情報や業績予想などが掲載されており、業界地図には業界の種類や規模、業績、提携業界、資本の結びつきなどが掲載されています。価格はいずれも1,500円〜2,000円程度で、手っ取り早く業界や企業の状況を把握できます。
会社四季報は年4回(6月・9月・12月・3月の中旬)最新刊が出版され、就活に特化した「就職四季報」も発売されています。就職四季報には「就職四季報総合版」「就職四季報 優良・中堅企業版」「就職四季報 女子版」の3種類ありますが、いずれも最新版を購入するように気をつけてください。会社四季報はオンライン版も有料で利用することができます。
また、業界地図を購入すれば「Web上で同じ内容を閲覧できる」「昨年度版が閲覧できる」「企業研究に便利な会社四季報や週刊東洋経済プラスを1ヶ月無料体験できる」といった特典サービスもありますので、ぜひ活用してみてください。
②業界研究に適したノート
業界研究に適したノートは、あとから追加していけるようにバインダーとルーズリーフがおすすめです。お気に入りのバインダーを選ぶとモチベーションも上がるのでおすすめです。
③スクラップ用にテープのり
新聞や雑誌などの切り抜きをノートに貼っていく時、スクラップ用にテープのりがあると便利です。テープのりは100円ショップなどでも販売されています。水のりやスティックのりは、紙がデコボコになったりヨレたり破れたりするのであまりおすすめできません。テープのりは、履歴書へ証明写真を貼り付ける際にも役立ちます。
④【心構え】自分の所感を残しておこう
こちらは実際に準備するものではなく心構えです。
業界研究を進めていくとき、必ず業界研究ノートへ自分の所感を残しておきましょう。所感には「感じたことをどう生かすか?」という意味があります。ですので、業界の情報を知って自分が何を思ったか?だけでなく、何を思って、どう生かすか?というところまで考えてください。
少し時間のかかる面倒臭い作業かもしれませんが、ゆくゆく志望動機や自己PRに役立ちます。
また、所感を書いたり、情報を追記できるよう、業界研究ノートを書き進めていく時は余白を意識しておくと良いです。はじめからノートの端にメモ用の欄をつくっておくと、ノートを有効活用できます。情報や所感でページが埋まってしまい、それでもこのページに追記しておきたいという時のために、付箋があると便利です。
業界研究ノートの作り方
業界研究ノートの作り方をご紹介します。この方法が全てではないので、作っていく中で自分の就活スタイルに適した項目でリサーチを進めていってください。
業界研究ノートの作り方
- 興味のある業界をピックアップ
- 業界の特徴を調べる
- 業界の将来性や成長性を調べる
- 他の業界との関連性を調べる
- 業界のトップ企業を調べる
①興味のある業界をピックアップ
ピンポイントで気になる業界があれば、まずはその業界からスタートします。業界研究ノートに業界名を記入しましょう。
特に志望する業界がないのであれば、気になる企業が属する業界や気になる職業が活躍できる業界をピックアップしてみてください。この時、興味を持った理由も書いておけば、志望動機や自己PRに活用できます。
注意点としては、業界名は省略することなく必ず正式名称で書くようにしてください。間違ったままで就活を進めてしまうと、エントリーシートへ記入する際や面接で間違えてしまう可能性があります。この段階で間違いを訂正し、正式名称を体に馴染ませてください。
②業界の特徴を調べる
業界がどのように利益を得ているのかといった事業内容や、社会での位置付け、平均年収や平均年齢、必要なスキルや資格などを調べていきましょう。メリットに感じること・デメリットに感じることも解析しておくと、業界への深い理解が得られます。
スキルや資格に関しては職種によるところもありますが、業界全体として持っておくべき資格やスキルの傾向があります。将来的にそれらを取得することが見込まれますし、特定の学部に所属または講義をとっていないとエントリーできない企業もあります。あとでそのことに気づく前に、今のうちに把握しておいてください。
③業界の将来性や成長性を調べる
業界のことがわかり始めたら、さらに踏み込んだ研究を進めていきましょう。業界の成長率と市場規模を調べ、将来性や成長性を分析していきます。
- 成長率…直近3年間の業界規模の増加率
- 市場規模…その業界で商取引が行われる総額
成長率からは時代の変化に合わせて成長しているかということがわかります。数値やランキングだけで把握せず、なぜ成長を遂げているのか?という理由も調べましょう。時代の変遷に合わせて成長でき得る業界かどうかを判断します。
一方、市場規模からは市場の現状や動向が把握できます。
- 商品やサービスを売るターゲットが消費者か企業などの法人か?
- ターゲットの年齢層は?
- 国内シェアは?地域ではどうか?
- 海外進出しているか?それはどこの国か?進出予定はあるか?
業界の特徴で行ったと同様に、メリットとデメリットも書き出していきましょう。
④他の業界との関連性を調べる
他の業界との関連性を調べましょう。
例えば、インテリア業界は幅広い業界にまたがります。製造に関して言うと、家具を生産する家具産業、カーテンなどを生産する繊維産業、陶器などを生産する陶磁器産業といった業界が該当します。さらに家具であれば木製なのかガラスなのかで細分化されます。また、製造した商品を流通させる卸売業界や商社業界、実際に消費者の元へ届ける小売業界など、インテリア業界はさまざまな業界を包括していることがわかりますね。
⑤業界のトップ企業を調べる
業界のトップ企業を調べることで、日本経済の勢力図が見えてきます。興味がある業界は10社ほど、最低でも3社はピックアップしましょう。また、トップ企業の他に気になる企業があれば、その企業もメモしておいてください。のちの企業研究に役立ちます。
業界研究ノートを作ったあとにすべきこと
業界研究ノートを作ったあとにすべきことは、次のステップである企業研究と情報のアップデート、事実確認です。また、新たに興味を持った業界があれば、都度企業研究を進めていきます。
企業研究
業界研究に対して、企業について理解と知識を深めていく作業を企業研究と呼びます。企業研究で調べることは、企業の設立年・資本金・代表・事業拠点・経営理念などの基本情報や、事業内容、業績などです。関連会社や資本提携、業務提携を行っている会社も見ておきましょう。
業績を確認する時は、先ほどもご紹介した「四季報」を利用したり、投資家向けのIR情報が役立ちます。また、実際に働くことを想定し、給与・福利厚生・キャリア形成・職種・勤務地・勤務時間などもチェックしてください。
情報をアップデートする
新型コロナウイルスにより世の中は一変し、急速な転換期を迎えています。業界研究している今現在と、採用活動が始まる先の未来では、状況が変わっている可能性も十分あり得るのです。
そのため、業界研究ノートを作ったあとも、引き続き情報をアップデートしていく必要があります。新聞やニュース、業界団体のホームページ、企業が発信する情報などはこまめに見るようにしましょう。
OB・OG訪問して事実確認
業界研究で得た情報が本当か?思い描いているイメージと合致しているか?を確かめるには、志望業界内の企業に勤めているOB・OGへの訪問がおすすめです。業界研究をしていて疑問に思ったことや気になることはあらかじめメモしておき、先輩へ直接確認してみましょう。
また、OB・OG訪問することは事実確認だけでなく、その業界や企業で働く人々の雰囲気がわかるというメリットもあります。
社風の具体例
- 熱意や上昇志向が溢れている社風
- 上下関係が厳しい社風
- 個々の能力を重視する社風
- 自由度の高い社風
- 慣習や伝統に重きをおく社風
業界自体が持つ独特な雰囲気もあれば、同じ業界でも企業によって社風が全く違う場合もあります。そのあたりについてもOB・OG訪問の際に確認しておくと良いでしょう。
興味を持った業界が見つかれば再度研究
業界研究を進めていると、関連業界に興味を持つこともあります。そんな時は再度、業界研究を実施してください。業界研究を一度経験してれば、自分にとって何を重視するかが見えているはずですので、効率よく業界研究を進めることができます。
【まとめ】業界研究ノートは就活のマストアイテム
業界研究ノートの作り方や目的、おさえておくべきポイント、業界研究ノートを作ったあとにすべきことなどをご紹介しました。
業界研究ノートを作るのは時間がかかる作業です。しかし、業界研究を行わずに就活を進めるのは、目的地や地図を持たない状態で道を進むことに等しいでしょう。業界研究を進めることで目的を知り、業界研究ノートは目的地へ向かう地図となります。入社後のギャップや後悔を防ぐため、丁寧に取り組んでいきましょう。
投稿者プロフィール
- 新卒入社した企業で大失敗!入社1ヶ月で退職し、某大手通信会社のグループ企業へ転職。結婚を機にフリーランスになり、個人事業主6年目。「就職失敗→転職→独立→結婚・出産→ワーママ」という経験を活かして、現在は採用メディアや金融メディアでライターをしています。3級FP技能士保有。趣味は投資の勉強と旅行です♪