「業界研究って何から始めたらいいの?」
「業界研究って何を研究すれば良いの?」
この記事では、就活での業界研究のやり方について詳しくご紹介しています。
業界研究と聞くと「なんだか難しそう…」と少し身構えてしまう就活生のみなさんもいると思いますが、業界研究とは簡単に言うと自分が将来やってみたい仕事の性格を知る作業です。また、自分は将来どんな仕事をしたいんだろう?という自分探しをする作業でもあります。
業界研究をスタートする前に知っておくべきことや、具体的な業界研究のやり方、就活を成功させるための業界研究のコツを詳しく解説していきます。ぜひ就活にお役立てください。
もくじ
業界研究とは
業界研究では、社会にはどのような種類の業界があり、その業界が何をしているのか、どのような特徴があるのか、将来性はどうかといった情報を集め、紐解いていきます。
業界研究の目的は、就職先の企業を選定したり、内容のある志望動機を書いたりすることもそうですが、何より入社後の「こんなはずではなかった」を防ぐためでもあります。業界研究は就活の第一歩で、ここでの充実した作業はこれからの就活をよりスムーズに導いてくれることでしょう。
業界・業種・業態・職種の違いは?
業界研究をはじめる前に、就活で頻出する4つのワード「業界」「業種」「業態」「職種」の違いを知っておきましょう。
- 業界とは…産業や商業による分類
(メーカー、商社など) - 業種とは…事業や営業の種類
(金融、食品など) - 業態とは…商品やサービスの提供形態による分類
(居酒屋、バーなど) - 職種とは…職業や職務の種類
(バイヤー、商品開発など)
それぞれ具体例を出して解説します。
業界は「何をどうして利益を出すか?」の分類
業界は「何をどうして利益を出すか?」といった大きな括りで分類分けされています。
業界の具体例
- 製造業(メーカー)…物を売って利益を出す
- 農林水産業…食料や資源を供給して利益を出す
- 流通…物を動かして利益を出す
- 小売…物を販売して利益を出す
- 金融…お金を動かして利益を出す
- サービス…形のない物で利益を出す
- 出版…出版で利益を出す
- マスコミ…情報発信して利益を出す
- ソフトウェア・通信…情報の伝達・処理・運用で利益を出す
- 官公庁…公共サービスの充実で利益を出す
例えば、アパレル産業とは衣服の製造業と流通業です。食品メーカーに関して言えば、自社農園で生産した農作物を自社工場で商品化し、自社の流通で消費者へ販売を行っているといった複数の業界に属しているケースもあります。
このように、業界同士を組み合わせて利益を得ている事業形態があることも頭に入れておいてください。
業種とは「何を売るか?」の分類
業種とは「何を売るか?」の分類で、業界をより細分化したものです。
製造業(メーカー)の業種具体例
- 食料品
- 繊維工業
- 木材・木製品
- 家具・装備品
- 印刷
- 化学工業(医薬品、化粧品など)
- 石油製品・石炭製品
- パルプ・紙・紙加工品
- 鉄鋼業
- 非鉄金属
業種は業界内をさらに細かく分類していったもので、例えばメーカーの場合だと、食品や化粧品、医薬品、化学製品などに分類され、マスコミの場合は、広告や出版、放送、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などに分類されます。
業態は「どのように売るか?」の分類
業態は「どのように売るか?」に分類されたものです。
飲食店の具体例
- 居酒屋
- バー
- ダイニングバー
- レストラン
- カフェ
- テイクアウト
業態は営業形態による分類で、同じ商品を売るにしても、コンビニやスーパー、百貨店、オンライン通販などの提供手段があります。
職種は「何を担当するか?」の分類
職種は「何を担当するか?」といった具体的な仕事内容を分類したものです。
飲食店の具体例
- 商品開発・研究
- バイヤー
- 販売促進
- エリアマネージャー
- スタッフ教育
- 店舗開発
- マーケティング
- 店長
- 接客スタッフ
- 調理スタッフ
- 経営企画
- 人事
- 総務
- 経理
職種は、業務内容によって分類されています。大企業であればあるほど細分化され、個人経営や中小企業などでは複数の業務内容を兼任することもあります。
業界研究のやり方
業界研究のやり方ですが、まずは業界研究をする際のポイントをチェックしましょう。それを踏まえた上で、業界研究のやり方手順に沿って進めていけば効率的に進めることができます。
業界研究のポイント
業界研究のポイントは3つあります。
- 業界の種類を知る
- 業界の特徴を知る
- 業界の将来性を知る
詳しく解説していきます。
業界の種類を知る
業界はたくさんありますので、一つひとつ研究するのは効率的ではありません。まずは大まかに業界の種類を知って、全体把握することからはじめます。
業界の特徴を知る
業界をある程度絞り込んだら、何を取り扱っているか?誰に向けて提供しているか?さらには、どんな業態があるか?を調べてみましょう。
私たちが生活をしていて受け取る情報の多くは、対個人(BtoC)への販売促進がほとんどなので、実は対企業(BtoB)の情報に触れる機会がないのです。興味のある業界がBtoB向けに提供している物やサービスの情報もしっかり把握しておきましょう。
業界の将来性を知る
就職した会社が経営難に陥り廃業することは、残念ながらあり得ることです。会社が設立されてから5年後に存続している割合は5割ほど*。つまり半分の会社は廃業しているという現実があります。また、近年はコロナ禍によりますます厳しい状況下にある業界も多数存在します。
*2021年版中小企業白書・小規模企業白書をまとめました(経済産業省)を参照
将来性を見る時は、市場環境の変化に合わせて成長しているか?の指標となる成長率を見るとよくわかります。成長率は直近3年間の業界規模の増加率を示したものです。
業界研究のやり方手順
業界研究のポイントをおさえたところで、いよいよ具体的な業界研究を進めていきます。
業界研究のやり方手順
- 業界研究ノートを準備する
- 業界研究で使うツールを知る
- 興味のある業界を選ぶ
- 業界の特徴や将来性を調べる
- 志望業界に関連する業界も研究
業界研究ノートを準備する
業界研究ノートは、あとから追加しやすいルーズリーフが良いでしょう。
業界研究で使うツールを知る
業界研究の情報入手はパソコンやスマホなどからでも可能です。就活情報サイトや業界の動向をまとめたリサーチサイトなどを参考にしてみてください。
ある程度の大枠が掴めたら、業界の規模や成長が一目でわかる市場規模マップや時事ニュースがわかる日本経済新聞電子版が役立ちます。日経経済新聞の電子版には、「就活」というカテゴリがあり、就活に関わるニューストピックがピックアップされています。全ての記事を読もうとすると月額4,000円ほどかかりますが、無料で使える期間もありますし、無料で読める記事も豊富にあります。また、トピックだけを見るのでも参考になります。
さらに詳しく踏み込んで調べたい時は、業界研究関連の書籍が役に立ちます。多くの就活生が使っているものが、東洋経済新報社が出版している「会社四季報 業界地図」です。業界地図では業界の種類や業績、資本関係、提携業界などがわかるため、業界の幅を広げる時の参考にもなります。業界地図は書店や各種オンラインショップでも購入でき、書籍を購入すれば「業界地図をWeb上で見られる」「昨年度版が見られる」「企業研究に便利な会社四季報や週刊東洋経済プラス1ヶ月体験版」といった特典サービスもあります。ぜひ活用してみてください。
興味のある業界を選ぶ
すべての業界を網羅するのは効率が悪いので、興味のある業界だけピックアップしていきましょう。
目指したい業界が何かわからない人は、業種や職種に注目してみてください。
システムエンジニアになりたいならITサービス業界・情報処理業界・ソフトウェア業界・ハードウェア業界・通信サービス業界などが該当します。食に携わる仕事がしたいなら、農林水産業や製造業、小売業、またこれらを包括した食品業界が該当します。
特定の企業への入社を志望しているなら、その企業がどんな業界に所属しているかというルートを辿って業界を見つけてみるのも良いでしょう。気になる企業が複数あった場合、それぞれの業界が何に属しているのかを調べてみると、自分が興味のある業界がわかります。
業界の特徴や将来性を調べる
次に、気になる業界の特徴や将来性を調べてみましょう。
業界の特徴や将来性を調べるには、先ほどポイントで説明した通り、まずは業界の動向をわかりやすくまとめてくれている就活情報サイトなどを活用して効率的に数値をピックアップしてみてください。
また、各業界団体のホームページも今後の動向を把握するのに役立ちます。
業界内のトップ企業の動向を見るには「有価証券報告書」が参考になります。有価証券報告書は具体的な企業が絞れてきた段階で見てみると良いでしょう。
有価証券報告書とは
有価証券報告書とは、金融商品取引法に基づき、上場会社が事業年度ごとに作成している報告書です。内容は、企業の基本情報やキャッシュフロー、今後の課題などです。主に投資の判断材料として使われることが多いですが、就活にも大変参考になる資料です。
志望業界に関連する業界も研究
志望している業界研究がある程度進めば、関連する業界の研究も進めてください。
「この業界でないと絶対にダメ」と業界を絞りこんでしまうのは、就活で失敗するリスクを伴います。
例えば、製造業に興味があるのであれば、生産した商品を世の中へ流通する商社や卸業界、実際の消費者へ販売する小売業界などもおさえておくことで、社会の仕組みや流れが見えてきますし、社会に出た時に役立ちます。
就活を成功に導く業界研究とは
業界研究の目的は、企業の選定や志望動機を見つけるため、また、入社後に後悔しないことでした。最後に、これらの目的を見失うことなく業界研究するためのコツを3つご紹介します。就活を成功に導くために、ぜひチェックしてくださいね。
成功に導く業界研究のコツ
- 自分の感想を残していく
- 業界研究に熱中しすぎない
- 特定の業界に固執せず幅広く研究する
①自分の感想を残していく
業界研究は作業になりがちです。ノートにデータが蓄積されていくのを見て満足してしまうことだけは避けたいです。
そうならないためには、ただ調べるだけで満足せず、調べた情報を受けて「自分がどう思うか?」という感想をメモしていくことです。自分が残したメモは企業を選定する時の道しるべとなり、エントリーシートや面接で企業へ伝える志望動機にもなります。
②業界研究に熱中しすぎない
業界研究に熱中するあまり、就活という目標を見失わないようにしましょう。
時間には限りがあるので、企業研究を熱心にするあまり他の就活を疎かにしてはいけません。特に就活が本格化していく大学3年生の3月頃からは、企業説明会への参加やエントリーシートの記入で忙しくなります。業界研究の理想的なスケジュールは、企業へのエントリーが始まる前の段階で終わらせておくこと。インターンへの参加を希望しているならば、大学3年生の春〜夏の段階で業界研究に着手しはじめるのがベストです。
長いスパンでスケジュールを立てて、効率よく進めてください。
③特定の業界に固執せず幅広く研究する
繰り返しになりますが、特定の業界に固執することは、自らの選択肢を狭めることになります。先ほど紹介した通り、自分が携わってみたい仕事の流れを把握して、関連する業界の情報も取得していきましょう
特定の業界に固執しないようにするには、自分が持つ希望や理想に対して「なぜ?」を繰り返していくこと。これまで表に出てこなかった、潜在的に持っている意思に出会うことがあります。
【まとめ】業界研究で就活の可能性を広げよう
失敗しない業界研究のやり方についてまとめます。
- 業界研究の目的を知る
- 業界の種類・特徴・将来性を知る(ノートを作る)
- 業界研究をする際は自分の感想をメモしておく
- スケジュール管理で効率的に業界研究を進める
- 一つの業界に固執せず幅広い視野を持つ
最初から完璧な業界研究を目指そうとしなくても大丈夫です。合同説明会や企業説明会を通して、新たな発見があるからです。「この業界も面白そう!」と新しい発見もあれば「この業界は自分に合わないかもしれない」と気づくこともあるでしょう。
就活を進めていく上で、「自分がしたいことがわからなくなった」という時にも業界研究が役立ちます。また、業界研究ノートを見返すと「この時自分はこう思っていたのか」という気づきが得られ、就活のヒントになるでしょう。
投稿者プロフィール
- 新卒入社した企業で大失敗!入社1ヶ月で退職し、某大手通信会社のグループ企業へ転職。結婚を機にフリーランスになり、個人事業主6年目。「就職失敗→転職→独立→結婚・出産→ワーママ」という経験を活かして、現在は採用メディアや金融メディアでライターをしています。3級FP技能士保有。趣味は投資の勉強と旅行です♪