信託銀行とは、通常の預金や貸出などの銀行業務に加えて、預かった資産を運用する業務である信託業務を行うことができる銀行のことです。一般的な銀行と比較すると馴染みの薄い存在ですが、最も広い金融業務が経験できるのが信託銀行です。そのため、金融機関への就職を目指す学生から人気があり、入社のハードルが高い点でも知られています。
今回は、信託銀行の中でも規模の大きい三井住友信託銀行について詳しく解説します。信託銀行への入社を志望している学生さんに、ぜひ参考にしていただけたらと思います。また金融機関の新卒採用についてはぜひ次の記事もご覧になってみてください。
もくじ
三井住友信託銀行が大切にしていること
三井住友信託銀行はどのような企業なのでしょうか。三井住友信託銀行が大切にしていることや考え方が矜持に書かれてあります。矜持とは、自尊心や誇りがあることを意味する言葉です。
- 「受託者精神とは受け身の言葉にあらず」
- 「時代の流れをつかみ、社会に貢献」
この2つの方針を軸として、社員は業務に当たっています。三井住友信託銀行が信頼を扱い信頼を届ける企業として、創業以来企業努力を重ねて成長してきたことが分かります。時代に沿って資産の形が移り変わっていくことからも、今後もまますます成長が期待できる企業であることは明白です。
三井住友信託銀行の事業内容
三井住友信託銀行の事業は大きく分けて7種類に分類されます。具体的に見ていきましょう。
①個人トータルソリューション事業
個人トータルソリューション事業では、個人の顧客に対して「預金」「資産運用商品」「住宅ローン」だけではなく、専門性の高い「相続」「不動産」等のサービスや商品を提案します。
②法人トータルソリューション事業
法人トータルソリューション事業の役割は2つに分かれます。
- RM(リレーションシップマネージャー)
法人顧客の課題やニーズを掘り起こし、社内の専門部署で働くプロフェッショナルを束ねる役割 - プロダクト担当者
専門家として競争力のあるファイナンスをアレンジ
この両者が連携し「預金・決済」「ファイナンス」「M&Aアドバイザリー」「不動産」「証券代行」「年金」などのソリューションを総合的にアレンジし、顧客の経営課題解決に向き合います。
③法人アセットマネジメント事業
法人アセットマネジメント事業では、法人顧客の財務特性や投資経験に応じて適切な運用商品を提案し、任せられている預かり資産残高を成長させていくことを重視しています。
④不動産事業
不動産事業では、不動産が企業や個人にとって重要な資産の一つであると認識しています。法人顧客に対しては経営戦略に沿った不動産活用方法の提案、運用管理のサポート、投資機会の提案を行っています。個人の顧客に対してはライフステージやライフイベントに応じた不動産情報を提供することで資産形成のサポートを行っています。
⑤受託事業
受託事業は、「年金関連業務」「資産運用業務」「資産管理業務」の3つの柱で進められています。
- 年金関連業務:企業が保有する年金制度について、運用によって安定的に資産を増やしたいという企業のニーズに応じてプランニングを行います。
- 資産運用業務:年金基金や機関投資家のニーズに応じて運用コンサルティングを行い、運用商品を世界中から探し、選定して提案します。
- 資産管理業務:運用会社、年金基金や機関投資家から受託した資産の保管・決済や、取引・残高データの管理、日々の資産状況の報告を行います。
⑥証券代行事業
株式会社の株式名簿管理人として、株主総会運営における組織再編の相談や機関投資家との対話など、企業経営の根幹に関わる提案を法律に則って行います。企業がIPO(新規上場)を目指すための実践的なサポートも行います。
⑦マーケット事業
マーケット事業の業務は、一つが変動する株価や金利と向き合い安定的収益確保を目指す自社資産運用業務、もう一つが自社の資産運用で得たノウハウによって顧客向けの商品やサービスを開発する業務です。
未来創造活動
三井住友信託銀行では、7つの事業とは別に全社をあげた新事業・新業務の創出に取り組んでおり、2018年より「未来創造活動」として実施しています。経営企画部未来創造推進室が舵を切り、ボトムアップで事業を生み出すための仕組みを整えています。
- ビジネスプラン・コンテスト「未来フェス」
年齢も業務も雇用形態も関係なく、自由な発想でプランを競い合うコンテストです。 - 合格者が専任として自ら事業化に挑戦
この未来創造活動のポイントは、合格者が自ら事業化のために挑戦できるという点です。プロジェクトには企画・財務・法務などのスペシャリストが「未来クルー」として、外部の経営コンサルタントが「未来ガイド」としてサポートします。 - 仕組み化しオープンイノベーション促進
アイディアをそのまま終わらせず、未来創造推進室が事業化サポートを行います。部署や業務の垣根を超え、社内専門家とのディスカッションも後押しします。
三井住友信託銀行の求める人物像・新卒募集職種
三井住友信託銀行が求める人物像や新卒募集するコースについて見てみましょう。
三井住友信託銀行の求める人物像
三井住友信託銀行は、日本で最も「信頼」を集める企業として、社員一人ひとりが顧客や社会の様々なニーズに応えたいという意志を持ち、新たな可能性のために挑戦しています。
果たすべき使命を担いたいという意欲を持った学生が、三井住友信託銀行では求められています。
新卒募集コース
新卒で募集されているのは、2つのコースです。
- Gコース(全国転勤型・全国主要都市や海外での勤務)
- Aコース(地域限定型・所定の地域内での勤務)
入社後には、コースを転換できる制度が設けられています。
三井住友信託銀行の新卒採用選考対策・ポイント
三井住友信託銀行での新卒採用選考のそれぞれのステップにおける質問内容やポイントについて解説します。
エントリーシート
三井住友信託銀行では、採用サイトからエントリーシートを提出する必要があります。過去のエントリーシートでは以下のような質問が挙げられています。
- 大学時代に最も力を入れて取り組んだこと
- 新たなことを始めたときや環境の変化が起こった際に、苦労したことや乗り越えた方法
- 周囲と協力して活動した際にやりがいを感じた経験
- 他に志望している企業
リクルーター
三井住友信託銀行の新卒選考では、リクルーター面談が実施される場合があります。リクルーターに複数回会って面談をする場合もあれば、リクルーター面談が一度も実施されない場合もあります。
中にはリクルーターに何度も会って、実際の仕事内容を詳しく聞くことができ、企業研究や面接選考に役立てられた例もあります。
面接
三井住友信託思考の新卒採用の面接は、人によって回数が異なります。実際の面接回数も公表されていないため、何回面接が実施されてもいいように、様々な質問に対する回答を事前に組み立てておく必要があります。
過去の面接での質問は以下です。
- 学生時代に最も力を入れたこと
- 志望動機(なぜ三井住友信託銀行でなければいけないのか)
- 他企業の選考状況
- 周囲からどのような人間だと思われているか
- 自分の長所と短所
- 両親の教えと自分の幼少期について
- 配属希望の部署と、希望が叶わない場合についての所見
- 志望度の高さを判断するための逆質問
選考全体への対策
三井住友信託銀行の新卒選考において、志望動機については様々な角度から深く問われる点が特徴です。三井住友信託銀行でなければいけない理由を面接官が納得できるまで追求されるため、細やかに企業研究しておく必要があります。
金融業界は選考開始時期が他と比較すると遅い傾向があるため、他の企業の選考に参加することで事前に経験を積み対策を取っておくことができます。
三井住友信託銀行で働く人の声
三井住友信託銀行で実際に働く人の声をご紹介しましょう。
旧住友の文化においてはやってみなはれで若手でもチャレンジさせてもらえつつ、暖かく見守る環境もあったものと思います。統合後はこれまた店舗や部署によりますがリテールは割と暖かみのある社風です。ホールは若手の担当者が増えたためか、人材育成には課題認識がありそれなりにしっかりしたプログラムで育成されているものと思います。とにかく色々な部署に色々なカラーの人がいるので、店舗間、事業間で転職したような新鮮味があります。
一番辛い(業務量に対して給与が極めて安い)時期をなんとか乗り越えることができれば、自分なりに仕事をコントロールしながらそこそこ悪くない年収を得ることができるとは思う。基本給も少しずつながら上がり、それに伴い賞与の土台部分も上がる。流れに身を任せず、長く働ける部署がどこかを常に考え、自分で選んで身を置く場所を決めることが大事だと痛感している。職種ごとに昇給のスピードが全く違うので、きちんと考え、必要に応じて変更しながら働くべき。
引用:カイシャの評判
三井住友信託銀行の待遇や福利厚生・人事制度
ここからは三井住友信託銀行の新卒での気になる待遇や福利厚生、独自の制度についてご紹介します。
三井住友信託銀行での新卒の待遇・福利厚生
三井住友信託銀行での新卒の待遇・福利厚生は以下のように定められています。
- 給与:院卒月給 235,000円・大卒月給 210,000円(各コース共通)
- 試用期間:なし
- 昇給:年1回見直し
- 賞与:年2回(2018年実績)
- 諸手当:通勤交通費、時間外手当など
- 休日休暇:完全週休2日制、年次有給休暇、5営業日連続休暇(年1回)、リフレッシュ休暇(年2回)、勤続年数に応じた連続休暇(永年勤続特別休暇/勤続15・20・25年)、産前・産後休暇、出産・育児休業など
- 社会保険:健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険
- 各種制度:社宅・独身寮制度、従業員持株制度、財形貯蓄制度など
三井住友信託銀行の人事制度
三井住友信託銀行では様々な人事制度が設けられています。
自己啓発支援制度
自己啓発支援制度として、3つの支援や支給がなされています。
- 特定図書支給
資格取得に向けた支援として、会社が推奨する一部の資格について会社指定の特定図書を支給。 - 受験料援助
会社が推奨する一部の資格について合格時に受験料を援助。 - 資格取得支援金
会社が推奨する一部の資格について積極的な取得を奨励し、その支援を目的として取得に際して必要な費用の一部を援助。
能力開発・人材育成制度
能力開発や人材育成を目的として、入社前・配属前・入社後の3段階でチャレンジ制度や資格取得制度が敷かれています。
選考時から業務にチャレンジできるのは三井住友信託銀行独自のスタイルであり、実際の業務内容や企業の社風についても詳しく知れることから、第一志望であれば是非参加したい制度です。
まとめ・三井住友信託銀行で未来を想像する仕事を!
三井住友信託銀行での新卒採用選考についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか。簡単にポイントをまとめます。
- 三井住友信託銀行は信託銀行のトップ企業。銀行業務・信託業務と金融機関の中でも幅広い仕事経験ができる
- 三井住友信託銀行への新卒入社は、全国転勤型のGコースと地域限定型のAコースとに分かれる
- 三井住友信託銀行の新卒選考では、複数回の面接のため事前に質問対策を徹底することと、三井住友信託銀行でなければいけないことが十分に説明できる志望動機を語れることが重要
- 三井住友信託銀行では、充実した人事制度や研修制度が敷かれている
事前にしっかりと企業研究や自己分析を行い、選考に臨んでくださいね!
投稿者プロフィール
- ウシ科 ウシ属 サイヨ牛。就活で100社落ちた経験、就職するも牛を牛とも思わない企業に嫌気がさして退職。それ以来、だれよりも求職者の手助けをしたいと考え、採用メディアを作り上げることを決意した。
採用に関する情報を銀行のように貯めて、だれもが引き出せるようにとの想いで採用バンクが誕生。特別編集長として求職者側に寄り添ったアドバイスを得意とする。
今では「サイヨ牛ケンくんは採用試験のプロ」と呼ばれるまでに至った。
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