就職活動の面接において「このままだと遅刻する」という時、あなたはどうしますか?「自分の評価が下がってしまう…」「面接に行くのやめようかな」とネガティブな感情を抱くのはまだ早いです。世の中、遅刻を絶対にしないと言い切れる人はいません。大切なのは、社会人としてどのように対処するかです。この記事では、面接に遅刻しそうなとき、電話でその旨をいかに適切に伝えるかに焦点をおき、具体的に解説していきます。
電話をかける時の言葉遣い
電話は相手と直接やりとりできる便利なコミュニケーションツールです。ただし、電話をかける相手が面接を受けようとしている企業の採用担当者だと特に注意しなければならないのが言葉遣いです。尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けはしっかりできているでしょう?言葉遣いの重要性と間違いやすい言葉遣いについて紹介します。
言葉遣いの良さは就活における武器
言葉遣いがきちんとできていると、就職活動時はもちろん、社会に出てからも高い評価を得ることができます。社会人にとって、正しい言葉遣いで接するスキルというのは必須です。就職活動の時点で正しい敬語の使い分けができていると、それだけで自身を高く見せる武器になるのです。就職活動の中でも、面接や採用担当者と電話するような場は非常に緊張しやすいもの。特に、面接に遅刻することを電話で伝えるという状況下においては、誰しも焦りや緊張を感じることでしょう。そのような場であっても、いかに正しい言葉遣いを駆使し、採用担当者を納得させたうえで、自分の評価を高めるかというのが重要な問題になってきます。
就活時に勘違いしやすい言葉遣い例
日本語における敬語の使い方の中でも特に難しいのは、尊敬語と謙譲語の使い分けです。尊敬語と謙譲語には以下のような違いがあります。
- 尊敬語…目上の人や年上の人など、自分より立場が上の人を立てる時に使う。
- 謙譲語…自分自身がへりくだることで相手を立てるときに使う。
どちらも相手を立てる時に使う言葉ですが、謙譲語には自分を下げるという行為が伴います。これが尊敬語にはありません。では、具体的に面接に遅刻しそうで電話をかける場面では、どのような間違いやすい言葉遣いが使われるのでしょうか。具体例を見ていきましょう。(電話に出た企業の社員に対して)
「採用ご担当の〇〇さんはおられますか」
→「採用ご担当の〇〇さんはいらっしゃいますか」
「おられますか」の「おる」という言葉は自分をへりくだる時に使う謙譲語です。いるかいないかの主語は採用担当者なので、この場合は尊敬語の「いらっしゃる」を使うのが正しいです。次に就職活動の場だけでなく、日常生活においても間違えやすいのが二重敬語です。例を見てみましょう。「お伺いいたします」→「お伺いします」
一見間違っていないように思えるかもしれませんが「伺う」と「いたす」は同じ謙譲語です。一緒に使うと二重敬語になってしまいます。
面接への遅刻を電話で伝える時の理由付け
面接に遅刻する旨を電話連絡する場合、1番問題になるのは遅刻の理由ではないでしょうか。ここでは、遅刻の理由として一般的に使われそうなものをご紹介します。
体調不良
体調不良は面接へ遅刻する際に限らず多くの場面で遅刻する理由として使われます。体調不良を確かめるすべがないので、大半は理由として用いられたら信じるしかないのです。ただ、自身の評価を下げないためには「本当かな…」と疑われないようにする必要があります。たとえば「電車に乗っている途中で気分が悪くなった」という状況は、普段生活をしている中でも十分起こりうることです。突発的な体調不良は誰にも予測できないことですので、遅刻の理由としては説得力があります。一方、同じ体調不良であっても「発熱」などを遅刻理由にする場合は、なるべく早く電話連絡をすることが大切です。突発的に発熱する場合もありますが、面接に遅刻する際の理由として用いた場合、「もっと早くから症状が出ていたのでは?」と思われる可能性もあります。なるべく疑いの目を向けられないように、体調不良を遅刻理由にするなら、相手を納得させられるように工夫した方がいいでしょう。
面接の予定が押している
就活生だけでなく、転職活動中の人であっても、複数社の採用試験を受けていることは採用担当者であれば容易に想像がつきます。「予定していた面接時間が押していて、面接に遅刻しそう」という理由も、採用担当者にとってはその状況を想像できる遅刻理由です。
交通機関に関わるもの
「電車の乗り換えに失敗した」とか「交通渋滞に巻き込まれた」という理由も、一般的には遅刻の理由としてよく用いられます。ただし、交通機関に関する遅刻においては「もっと早く行動していたら避けられたんじゃないのか」と採用担当者に思われる場合があります。ですから、決して不慮の事態だと自分を正当化するのではなく、誠実にお詫びの気持ちを電話で伝えることが重要です。
電話で遅刻を伝える時の具体的文言
では、電話で面接に遅刻することを伝える時の具体的な文言を2通りご紹介します。
話す内容①
△△様、お忙しいところ恐れ入ります。本日×時に御社にて面接のお約束をしている〇〇〇〇と申します。ただいまお時間よろしいでしょうか。現在、御社に向かう途中なのですが、電車移動の際、急に気分が悪くなってしまい下車してホームで休んでおります。×分ほど休んで今やっと気分が回復してきたところです。現在、〇〇駅におりますので、×時に面接をお願いしておりましたが、×分ほど遅れ×時×分には御社に到着できる見込みでございます。ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。いかがすればよろしいでしょうか。(面接の日程変更を企業側から申し出られた場合)
ご調整いただき誠にありがとうございます。ご提示いただいた日程でお願い申し上げます。このたびはご迷惑をおかけし大変申し訳ございません。何卒よろしくお願い申し上げます。
話す内容②
お忙しいところ恐れ入ります。本日×時に御社にて面接をお願いしている〇〇〇〇と申します。大変お世話になっております。ただいまお時間よろしいでしょうか。他社での面接が長引いてしまいまして、お約束の時間に遅れてしまいそうなのでお電話差し上げました。大変申し訳ございません。現在、〇〇駅におりますので、当初予定していただいておりました面接開始時間の×時から×分ほど遅れ、×時×分には御社に到着できる見込みでございます。ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。このまま御社にお伺いしてもよろしいでしょうか。(遅刻を了承してもらえた場合)
ありがとうございます。急いで参りますので何卒よろしくお願い申し上げます。では、失礼いたします。
面接に遅刻しそうなときに知っておきたいこと
就職活動や転職活動をしている場合、面接に遅刻しそうで電話連絡が必要になるというのは珍しいことではありません。それを踏まえて心掛けていただきたいことをいくつかまとめました。
人はいつでも遅刻する可能性があると考える
面接に遅刻しそうで企業に電話しなければならない…そういう状況に置かれたら、だれでも焦ってしまうものです。就職活動、もしくは転職活動中の人は「もしかしたら遅刻は明日起こるかもしれない」と常に想定しておくことをおすすめします。そうすることであらかじめ情報を集めることができますし、心の準備をしておくこともできます。無事、就職や転職が成功し、企業に勤めることになったときにも、その思考は役に立つでしょう。
焦っているときこそ、冷静な対応を
遅刻しそうな時はだれでも焦ってしまうもの。特に、今後の人生を左右する企業の採用面接に遅刻しそうとなったら、冷静でいられないかもしれません。ただし、焦っているときこそ冷静な対応がもとめられます。どんな環境下にあっても、絶対遅刻しないと言い切れる人は誰もいないでしょう。それよりも考えるべきは、個々の状況に応じた対処をいかに素早く行うかということです。適切で迅速な電話対応をすることで、苦境を逆に自分の評価を高める場に変えていきましょう。
面接に遅刻する際はメールではなく必ず電話で
面接に遅刻する際には、メール連絡ではなく電話連絡が必須です。採用担当者と直接電話がつながらない場合は、電話を受け取った人に伝言を伝えてもらいましょう。電話連絡の際にお詫びの言葉をいうことは必ず必要です。また、遅刻して面接に行った時にもひとこと「このたびは貴重なお時間を頂戴したにもかかわらず、面接に遅れてしまい誠に申し訳ございません。」とお詫びをするのがいいでしょう。
電話連絡で評価を上げる方法
面接に遅刻するときの電話連絡は、緊急時の問題解決能力が試されています。遅刻したことによって自分の評価が下がると考えるのではなく、適切な対応をすることで自分の評価を上げることはできないかと考えるようにしましょう。
面接に遅刻するときの理由は正直に言わなくても良い
一概に「正直に伝えるべきである」とは言い切ることはできません。採用担当者の価値観や考え方の違いもありますが、例えば「寝坊して遅刻する」となった場合、やはり採用担当者としてはいい気分にはなれません。「うちの面接を軽視しているんじゃないか」とか「こういう人を採用して後々問題を起こされでもしたら、採用を担当した自分の責任が問われる」と考える可能性もあります。また、人事部に所属する採用担当者は、これまでに多くの就職活動者・転職活動者を見てきていると仮定すると、人を見る目が自然に磨かれている場合もあります。その場合、嘘の理由を伝えても、本人の挙動や表情などでばれてしまう可能性もあるでしょう。
面接開始の5分前に到着できなければ電話を
一般的に、企業の採用面接においては5~10分前には企業に到着して待機しておくことがマナーです。ですから、面接開始時刻に遅れる場合だけでなく、その待機時間も頭に入れて上で、最低でも面接開始の5分前に遅れそうという想定がなされた場合では、事前に遅刻する旨の電話連絡をしておいた方がいいでしょう。