「圧迫面接を受けたら帰っても良いの?」
「圧迫面接で帰ったらどうなるの?」
「帰っても良い圧迫面接の線引きは?」
「圧迫面接をする企業はブラックなの?」
就活中の学生にとって「圧迫面接」はよく耳にするワードでしょう。
もし状況に耐えられないほどの圧迫面接を受けたら、面接を途中辞退し、帰っても良いのかどうかは気になるところだと思います。
また、圧迫面接を途中で帰ってしまった後はどうなってしまうのか、内定を貰った企業が圧迫面接だったけど入社しても大丈夫なのかという不安もありますよね。
そこで今回は、
- 圧迫面接をする理由
- 帰っても良い圧迫面接の事例
- 帰ってはいけない圧迫面接の事例
- 圧迫面接の途中で帰る方法
- 圧迫面接の途中で帰った後どうなるか
について解説していきます。
圧迫面接に対する漠然とした不安を解消し、対策方法を知ることで、どんな面接を受けても毅然とした態度でいられます。ぜひ参考にしてくださいね。
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圧迫面接をする理由は学生の本質を見抜くため
圧迫面接とは、わざと高圧的・威圧的な態度をとったり、答えにくい質問をする面接テクニックのことです。圧迫面接に遭遇した時、面接を途中退場して帰っても良いのでしょうか。
まず知っておきたいのが、企業側が圧迫面接を実施する目的です。圧迫面接には次のような理由があります。
【企業が圧迫面接をする理由】
- コミュニケーション能力を見るため
- ストレス耐性を見るため
- 日頃の思考力を見るため
社会に出ると、いろいろな人に出会います。これまでの学生生活では、付き合いたくない人と無理に交流を深める必要がなかったでしょう。しかし、これから社会人になると、社内・社外問わずどれだけ苦手な人とも付き合わなければならない場面があります。圧迫面接では、今後の社会人生活を想定した上で、あえてストレスがかかる状況を作り、どのような対応がとれるのか?という部分を確認するのです。
圧迫面接を担当する面接担当者も、本心で学生にいじわるをしたいわけではない、ということを覚えておいてください。
ちなみに、リクナビが212人を対象に調査したアンケートによると、63.7%の学生が「圧迫面接を経験したことがある」と回答しています。
- 「ある」が63.7%
- 「ない」が36.3%
引用:リクナビ就活準備ガイド「企業はなぜ圧迫面接をする?採用のプロが意図と対処法を解説!」
10人中6人は圧迫面接経験者だと聞き、面接を受けるのが怖くなる学生もいることでしょう。実際には圧迫面接ではないのに勘違いしているケースも含まれていますので、あまり当てにならないかもしれません。面接という非日常空間においては、圧迫面接以前に過度なストレスを背負っているでしょうから、些細な言動にも敏感になるものです。
重要なのは圧迫面接かどうかではありません。
常識を逸脱した圧迫面接かどうかを見極める知識を持つことと、圧迫面接として適切な内容だった時にどう受け答えするかという対策をしておくことです。目の前の受け答えに振り回されないよう、準備をしっかり行いましょう。
圧迫面接の線引きに明確なルールなし
圧迫面接かどうか、という判断については、明確に線引きされているわけではありませんが、厚生労働省では以下のルールを設けています。
ア 採用選考に当たっては
・ 応募者の基本的人権を尊重すること
・ 応募者の適性・能力に基づいて行うこと
の2点を基本的な考え方として実施することが大切イ 公正な採用選考を行う基本は
・ 応募者に広く門戸を開くこと
(雇用条件・採用基準に合った全ての人が応募できる原則を確立すること)
・ 応募者の適性・能力に基づいて行うこと
(応募者のもつ適性・能力が求人職種の職務を遂行できるかどうかを基準として採用選考を行うこと)
圧迫面接は節度を守って実施される必要があり、上記のルールから逸脱したような圧迫面接を受けてしまったら、その状況を拒否する権利があります。
こんな圧迫面接は帰ってOK!退室OKパターン事例
圧迫面接の本質を知らずに、「とりあえず高圧的な態度をとって、暴言を吐いていれば良いんでしょ?」と間違った解釈している採用担当者も残念ながら存在します。
採用活動に関係のない苦痛を感じた時は、無理して面接を受け続ける必要はありません。面接室を退室し、帰っても良いケースもあります。
ここではまず退室OKパータンの事例をご紹介します。後ほどご紹介する退室NGパターンとともに参考にしてみてください。
先に念頭に置いていただきたいのが、常識の範疇を超えた圧迫面接を実施した企業は、内容次第で名誉毀損や侮辱罪などで罰せられることがあります。また、精神的な苦痛を受けたのであれば、企業側へ損害賠償請求ができる場合もあります。実際は事実確認することが極めて難しいため法的措置が実施されない方が多いのですが、間違った圧迫面接は法的措置や訴訟ができるほどの事態だと理解しておきましょう。
そもそも社内の風潮として、上司が高圧的な態度をとったり暴言をはいたりすることが当たり前になっている企業なのかもしれません。これは圧迫面接だけでは言い切れず、会社説明会や社内見学、座談会、インターンシップ、OB・OG訪問なども含めて答えを出す必要があるでしょう。社員同士のやりとりにも注目です。
【退室OKパターン①】人格を否定された
人格の否定は採用活動に不必要な発言です。人格を否定されて精神的苦痛を被った場合は、面接を途中辞退し、帰っても良いパターンだと言えます。
人格を否定する圧迫面接とは、次のような事例が挙げられます。
- 片親で育ったから、まだ内定貰ってないんじゃないの?
- お兄さん、〇〇大学卒ってすごいね!君はなんで〇〇大学なの?
- 君のその性格、自分で直そうと思わないの?
人格の否定とは、その人自身の性格や成績、家庭環境など、人間の本質的な部分を否定することです。
人格否定に該当するかどうかは話の流れや個人の感じ方によるところが大きいのですが、人間性そのものを否定したり茶化したりするような発言は、ちょっとしたものでも心に深い傷を追うことがあります。
圧迫面接と称して、人が傷つく発言をわざとしてくるような面接は言葉の暴力ともとれます。即刻退席し、自分の心を最優先すべきでしょう。
また、他人との比較も人格否定に該当する場合があります。先程の事例にもあるよう、兄弟・姉妹と比較されたり、別の受験者と比較されたりする発言は採用活動に一切不要です。
【退室OKパターン②】セクハラを受けた
セクハラと捉えられる発言も採用活動に関係がなく、不快に感じた場合は面接途中で帰っても良いケースです。
面接時のセクハラ発言というのは、以下のような事例が挙げられます。
- すごく美人・イケメンだしスタイルも良いね。
- 彼女・彼氏はいるの?
- SNS見たよ。
- (オンライン面接)そこは自分の部屋?キレイにしているね。
このようなセクハラ発言で不快に感じた時や、身の危険を感じたら即刻退室し帰りましょう。自分一人でモヤモヤする必要はなく、家族へ相談したり、大学のキャリアセンターなども活用しましょう。外部の相談窓口に連絡する方法もあります。また、企業側へ抗議と連絡を入れる場合は、採用を管轄している部署か、連絡しづらいようでしたら違う部署でも構いません。
さらに言えば、女性に対して「結婚したい?」「子どもを産みたい?」といった質問もセクハラに該当する上、男女雇用機会均等法に違反します。
結婚や出産は企業側としても今後のキャリア形成を考える上で非常に重要なポイントではありますが、採用活動には関係がありません。
【退室OKパターン③】差別発言を受けた
差別的な発言も採用活動には無関係です。不快に感じるようであれば、退室し、帰っても問題ないでしょう。
面接時の差別発言は以下のような事例が挙げられます。
- 女性・男性は〇〇だから、〜。
- 女性は男性に比べて・男性は女性に比べて〜。
- 技術部に配属希望?紅一点になるよ?
- 男性で一般事務職希望って、どうして?
- 男性社会・女性社会だけどやっていける?
- 帰国子女なら〇〇した方が良いんじゃない?
- 自国に帰って就職した方が良いんじゃない?
- それって地毛なの?なんで黒染めしてこないの?
上記のように、性別や国籍、人種、育った環境によって人を差別する発言です。差別発言によって気分を害した場合、無理に面接を継続する必要もありません。入社を志望したからこそエントリーした企業かとは思いますが、入社したとしても社内でこのような差別発言がまかり通っている可能性もあります。
差別発言に関しても侮辱罪などの法的措置の対象となりますが、外国籍の方に対する差別発言に関しては、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」という法律が2016年6月に公布されています。外国籍だからなす術がないと諦める必要は全くありません。
こんな圧迫面接は帰らないで!退室NGパターン事例
次に、適切に実施されている圧迫面接(もしくは圧迫面接疑い)の事例をご紹介します。
まず最初に、身近な例で考えてみましょう。
- コンビニでお酒を買おうと思ったら年齢確認をされて文句を言った
- あなたの不注意で電車に遅延してしまったにもかかわらず駅員にクレームを入れた
- 店員の態度が気に食わずSNSに店員の個人情報をアップし誹謗中傷した
これらは不当なクレームで、適切でない対応だということがわかります。
圧迫面接は、さまざまな逆境の中でも受け答えができるかどうかを確認しています。また、受験者のことをもっと知りたい想いから、意図せず圧迫感が出てしまっている場合もあります。
適切に実施されているにもかかわらず、居心地が悪くなったからと言って「この圧迫面接は不当だ!」と帰ってしまうようでは、上記のよつな悪質クレーマーと同様だと言えるでしょう。悪質クレーマーとなってしまっては、選考通過は難しいと言えます。
そこで、このような悪質クレーマーになってしまうのを回避するため、帰ってはいけない圧迫面接についてご紹介します。
【退室NGパターン①】掘り下げ質問をされた
選考が進むにつれ、より深く受験者を知るために掘り下げ質問をされることがあります。友達との間でも、「なんで?」「どうして?」「それから?」など自然と質問を重ねて会話を進めていきますよね。
こういった掘り下げ質問は、学生の感覚だと「なぜそんなこと聞くの?」と思われる内容もあるでしょうが、入社後に重要なスキルなのかもしれません。このような学生と社会人とのギャップは、圧迫面接に限らず一般の面接でも起こりうることです。
掘り下げ質問をされている時は、それだけ自分に興味を持ってくれてるんだなと思いつつ、質問する意図を読み解いて答えるようにしましょう。
日頃からあらゆる事柄に対して「なぜ?」と自問自答する癖をつけておけば、自分が持つ価値観にも気づくことができるでしょう。
【退室NGパターン②】知識・対策不足を指摘された
コンビニでのアルバイトと言うと、食料品や日用品などのレジ打ちをしたり品出しをしたり、といった仕事内容を思い浮かべると思います。
では、インテリア商社へ入社する場合、どんな商品を取り扱い、どのように仕事をするのかイメージがつきますか?普段の生活と関わりのない業界や業種は、なかなかイメージが浮かばないものです。
そのため、業界研究や企業研究などを通して、知識を得る必要があります。
インテリア商社での面接で、「人を幸せにするインテリアとは何だと思いますか?」と問われたとして、「(…そもそもインテリアって何?)」と答えを詰まらせてしまうようでは、「本当に弊社を志望していますか?」と面接官より指摘が入っても仕方がないかもしれません。
面接を受ける最低限のマナーとして、志望する企業や業界に関する知識を蓄えておき、企業や業界が直面してる問題への考えをまとめておくなどの対策をとっておきましょう。
【退室NGパターン③】採用担当者の方言や人柄が苦手
生まれ育った土地と違った土地で就活を進めていると、面接官の独特の雰囲気やイントネーションに萎縮してしまうケースもあります。イントネーションだけでなく、同じ日本とは言え文化そのものが違うわけですから、些細な瞬間で戸惑うことは当然でしょう。
土地だけでなく、面接官の人柄とのギャップも感じるかもしれません。あなたの友達にも、ファーストコンタクトはぶっきらぼうだったのに、気づくととても仲が良くなった友達はいませんか?
面接官も人ですので、愛想の良い人もいれば、笑顔を作ることが不得意な人もいるでしょう。特に差別的な発言もなく、質問責めをされるわけでもなく、ただ言葉遣いや間の取り方、表情などで居心地の悪さを感じる時は、面接官の人柄や文化、イントネーションとのギャップがそう感じさせているのかもしれません。
圧迫面接の途中で帰る3つの方法
差別発言やセクハラ、人格否定をされるなど、常識を逸脱した圧迫面接を受けた場合、途中で退室して帰る方法についてご紹介します。
内心では「今、差別を受けている。良くない圧迫面接なのでは?」と思っていても、それを口に出せずに嫌な気持ちを残したまま面接を終える人は多いでしょう。面接の途中で帰るのは、とても勇気がいることです。
発言をその場で受け流すことができるのであれば、面接を終えた後に辞退の申し入れをしたり、大学のキャリアセンターに相談するといった流れになりますが、「受け流すのもツラい」「これ以上差別されたくない」「セクハラがエスカレートしている」等で身の危険を感じた時は、即刻帰るべきだと言えます。
方法①モラルに反していると伝える
そのような差別発言をされる企業へは入社致しかねます。大変申し訳ありませんが、選考を辞退させていただきます。失礼致します。→退室
モラルに反する発言を良しとする企業への入社はできないと伝え、面接の途中で帰る方法です。
方法②傷ついた旨を伝える
今の差別発言に対して、大変傷つきました。入社後もこのような差別が続くのであれば、選考を辞退したいです。失礼致します。→退室
心ない発言により傷ついたことを伝える方法です。個人の価値観ですのでこれ以上言及されることもなく、今回ご紹介する3つの中では謙虚な姿勢だと言えるでしょう。
方法③圧迫面接が常識を逸脱していると伝える
圧迫面接で対応力などを見ておられるかとは思いますが、家族や育ちについて否定されるのは常識を逸脱しているかと思います。大変申し訳ありませんが、選考を辞退させていただきます。→退室
圧迫面接の存在や目的を知っていることに加えて、内容が常識を逸脱していると指摘をする方法です。反論された場合は、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」を引き合いに出し、説得性を持たせることもできます。
圧迫面接の途中で帰った後に起こり得る3つのパターン
圧迫面接の途中で帰った後、企業から何かしらのアクションを起こされないか不安ですよね。
面接途中で帰った後の流れについては、大きく分けると以下の3パターンに分けられます。
圧迫面接その後①特に何の連絡もなし
受験者数がたくさんいる場合、選考を辞退したというシンプルな処理のみで済むことがあります。特に先方から連絡がなかったからと言って、こちらからわざわざ連絡する必要もありません。
不安であれば、家族や友人、大学のキャリアセンターと事実を共有しておくと良いでしょう。
圧迫面接その後②何らかの連絡がある
度が過ぎる面接をしたと面接官が認めた場合、その旨に対して謝罪の連絡が入る場合もあります。また、再度面接の機会を設けると言われたら、その時にもう一度選考に進むべきか考えると良いでしょう。
毅然とした態度が評価され、途中退席したにもかかわらず、選考を通過したり内々定が出るケースもあります。
圧迫面接その後③警察や弁護士に相談される
圧迫面接の途中で帰ったあと、受験者本人がSNSで度を超えた誹謗中傷を拡散したり、侮辱的な謝罪の申し入れや執拗なクレームを入れたり、面接官本人に対して悪質な嫌がらせや攻撃などを行なった場合、企業側としても適切な対応を取る必要があります。どのような対応をすべきか判断が難しい時は、警察や弁護士に相談することもあります。
法的措置や訴訟に発展してしまう可能性もあるため、感情的に仕返ししようとせず、まずは大学のキャリアセンターに相談しましょう。
【まとめ】圧迫面接で帰るのは場合によってOK
常識を逸脱した圧迫面接は犯罪になり得ます。心に深い傷を負ってしまう前に、また、セクハラなどで実害を被る前に、速やかに帰ってください。その場でどうすることもできなかった場合は、信頼できる周囲の人たちへ事実を共有したあと、選考を辞退するなどの対応を考えていきましょう。
正当に実施された圧迫面接は、居心地の悪さこそ感じますが、心が深く傷つくようなことはありません。面接官も、受験者への可能性を引き出そうと懸命に取り組んでくれています。面接への対策をしておけば乗り越えられる関門しか与えられませんので、しっかり準備して面接に臨みましょう。