企業研究で役に立つ!気になるIR情報の見方を徹底解説

2020年6月9日

企業研究をする時に企業のHPを見ると、IR情報という項目を載せている企業があります。このIR情報とは何なのか?気になっている就活中の方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、IR情報とは何なのか?IR情報は企業研究をするうえでどのように役立つのか?IR情報の見方などを徹底解説します。

IR情報とは

IR(インベスター・リレーションズ)とは、日本語で「投資家向け広報」と訳されている言葉です。

投資家に対して企業が行なう活動の一つで、経営状況や財務状況、業績動向に関する情報が発信されています。

上場企業には業績等の開示義務があるためHPに記載されていることがほとんどです。

IR情報が企業研究に役立つ理由

投資家向けの情報ではありますが、企業研究をする人にとっても重要な情報源になります。IR情報が企業研究をする時に役立つ理由は以下にあります。

  • 説明会では聞けない企業の弱みがわかる
  • 財務状況や経営状態などの情報を客観的に知ることができる
  • 今後の取り組みがわかる

説明会では聞けない企業の弱みがわかる

就職説明会は企業の良い点をアピールし、より多くの優秀な人材を集めるために行なわれています。そのため、企業のマイナスポイントなどは説明されないこともあります。

それに対し、IRでは正確な情報が開示されています。企業側は現状を正しく投資家に伝えることで、企業価値を高めることができるからです。

このため、IR情報からは企業の弱みとなっている部分を読み解くことができます。

財務状況や経営状態などの情報を客観的に知ることができる

企業の業績に勢いがある、あるいは下降傾向になっているなど、数字で示されているため客観的に知ることができます。

IR情報には企業がどのような分野で利益を得ているのか、減収している分野があるのかなどが書いてあります。グラフなどを使って表示してあるので、分かりやすい情報になっています。

企業の今後の取り組みがわかる

IRは株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績・今後の見通しなどを広報するための活動であるため、企業が今後どのような事業を行なっていくのかを知ることができます。

今後力を注いでいく事業やさらに投資していく予定の事業が書かれているため、企業を志望するときに未来の自分像に合った企業なのかどうかを想像しやすくなります。

IR情報を見る時に役立つ用語集

IR情報は一般の個人投資家向けにわかりやすく作られていますが、中にはあまりなじみのない言葉も含まれています。IR情報を見るときに役に立つ用語について解説します。

売上高

売上高とは、その会社の主な営業活動によって得られた収益のこと。仕入れ値などが反映されていない数値で、単純に商品がどれだけ売れたのかを示しています。

営業利益

企業が本業で稼いだ利益のこと。売上高から仕入れ値を差し引いた額が「売上総利益」、そこからさらに人件費や光熱費など販売をする際にかかった経費を差し引いた額が営業利益です。

純利益

本業以外の利益や損益を足し引きし、税金なども引いた後の利益のこと。純粋な企業活動の成果を表わすので、企業の勢いなどを確認するときの指標になります。

経常利益

営業利益に、受取利息や受取配当金、有価証券売却益などの営業外利益を加えます。そこから支払利息や有価証券売却損、有価証券評価損といった営業外費用を引いた利益のこと。

経営利益が黒字であることが、安定的な利益を継続的に出している企業である証拠とされています。

社債

投資家から資金を募る場合に企業が発行する「借用証明」のこと。普通社債、転換社債、ワラント債、劣後債、電力債などの種類があります。

株式とは異なり、決められた期限に達すると投資金額が戻ってくるという特徴があります。

有価証券報告書

企業内容を外部へ開示するために作られる資料のこと。「有報」(ゆうほう)とも呼ばれており、事業年度ごとに作成されます。

株券などの有価証券を発行している企業には作成・開示が義務付けられています。内容は企業の概要や事業の状況、設備の状況、大株主や役員の状況、経理の状況などです。

株式購入のときに参考にしたり、業界研究や企業研究のときに他社との経営指標の比較に使用することができます。

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスとは、日本語で「企業統治」と訳されています。企業の不正を防いだり、社内ルールを明確化したりする取り組みのことを言います。

コーポレートガバナンスはIR情報の一つの項目として記載されているHPもあれば、企業情報に載せている場合もあります。

コーポレートガバナンスを強化することによって企業価値を高めることができるため、多くの企業が重要な経営課題の一つとして位置づけています。

IR情報の見方

IR情報にはたくさんの情報が書かれているため、すべてを読むことに難しさを感じる人もいるでしょう。ここではIR情報の中でも特に企業研究をするときに役に立つ情報についてピックアップしてみましたので参考にしてみてください。

IR情報を開く

HPに「IR情報」と表示されている場合もあれば、「株主・投資家情報」となどと表示されている場合もあります。HP上でみつけられない場合は「企業名」と「IR情報」などで検索してみてください。

動画やプレゼン資料といったわかりやすい資料を見る

企業によっては株主総会で事業報告を行なっている動画をHPに載せていることがあります。また、事業の経過と成果をスライド資料という形で表していることもあります。

どちらも投資家向けの資料ですが、視聴したり目を通したりするのにそれほど時間を要せず、必要な情報を分かりやすく知ることができるのでおすすめです。

動画やスライド資料がある場合、まずはそちらを見てみましょう。全体を簡単につかんだうえで、IR情報の他の資料を確認することでよりスムーズに企業研究を深めることができますよ。

中期・長期経営計画を見る

企業によって『中期経営計画』を載せている場合と『中長期経営計画』を載せている場合があります。

この項目には企業が今後の数年間、どのような経営を行なっていく予定なのか、どの分野に力を入れていくのかが書かれています。

志望動機を考えるときに、経営計画と自分のスキルや経験を合わせた内容にすることで、企業側に必要な人材であることをアピールしやすくなります。

例えば、グローバル事業を拡大する予定のある企業であれば、語学スキルがあることをアピールするといったように、募集要項では求められていないスキルでも強みにすることができますよ。

業績ハイライトを見る

業績ハイライトには売上高や営業利益などが示されています。業績ハイライトの他に決算ハイライト、財務データという項目で表示している企業もあります。

数値を分かりやすく棒グラフなどを使って示している企業も多く、前年比や直近数年間の動きを知ることができます。

業績ハイライトをみることで、示されている期間に事業が好調であったかどうか、勢いがあるかどうかを判断できる情報です。

上場企業の企業研究ではIR情報も参考にしよう

上場企業にはIR情報を開示しなければならない義務があります。そのIR情報には企業研究をするときに役に立つ情報がたくさん含まれています。

IR情報の見方を知り、企業に関する理解を深めましょう。ライバルとの差が出る企業研究ができますよ。

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