アパレル業界は、おしゃれで煌びやかな世界というイメージが強く、ファッションが大好きな人にとっては憧れの業界です。しかし、一方で「景気に左右されやすい」「待遇が悪い、給料が低い」などマイナスなイメージが持たれやすいのも現状です。
では、実際のところはどうなのか?今回はそんな『アパレル業界』について解説していきます。
- アパレル業界の現状分析
- アパレル業界の仕事の特徴
- アパレル業界の人気企業とその特徴
- アパレル業界ならではの魅力
アパレル業界に興味がある人は、この記事を参考にしっかり業界研究・企業研究を行ってから就活をスタートさせましょう。
業界研究「アパレル」の現状とは?
衣食住の「衣」にあたる洋服は私たちにとって必需品です。好きな服を買ったり、TPOに合わせたり、時には華やかに着飾ったりと生活の一部となっています。
そんな身近なアパレル業界ですが、実は業績など意外と知られていない部分が多く、イメージだけが先走りしていることが多いようです。
アパレル業界の規模は6兆円超え
アパレル業界の業績規模は6兆円を超えています。意外にも、業績規模は他業界に比べて大きいという事実があります。さらに、平成21年から業績が伸び続けており、伸び率も他業界に比べると圧倒的に良好なのです。
近年では、しまむらやユニクロなどの「ファストファッション」が注目されたり、通販事業の拡大や、自社ブランドを持たない「メルカリ」や「ZOZOTOWN」といったプラットフォームなど、アパレル業界は大きく変化し続けています。
今後もセルフレジやAIの導入により、アパレル業界はますます進化していくでしょう。
アパレル=マイナスイメージなのはなぜ?
業績規模が6兆円を超えているにも関わらず、マイナスな印象があるのはなぜなのでしょうか?
それは、業界内での「差」が原因と言われています。
アパレル業界全体が成長している一方で、多くのアパレル企業の売上はマイナスに進んでいます。売上が良い企業のみが右肩上がりに業績が伸び、売り上げが伸びない企業はどんどん規模を狭まめていく。そんな業界内での差が、アパレル業界のイメージに繋がっているのです。
アパレル業界の代表的な仕事
アパレル業界には、生産・開発・広報・バイヤー・販売員など多くの職種が存在します。今回は、その中のいくつかを紹介していきたいと思います。
アパレルの花形職種「マーチャンダイザー」
アパレル業界の花形職種。シーズンのトレンドや市場の動きを観察しながら「何が売れるのか」を予測し、売れ筋を作り出します。そのシーズンの売れ行きを左右する大事な役割です。ブランドの指揮官という立場から仕事は多く、多岐に渡ります。
専門職「デザイナー・パタンナー」
デザイナーは洋服のデザイン(商品企画)を行なう専門職です。デザインだけでなく、素材やパターン、縫製など豊富な知識が必要になります。市場やトレンドの動き、消費者のニーズも把握しなければなりません。
そしてパタンナーは、デザイナーが出したデザインを洋服にするための型紙を作成する専門職です。最近ではアパレルCAD(コンピュータによる設計)を活用するケースも増えてきています。作業の効率が格段に上がるコンピュータの導入は必要不可欠ですが、1つの道具として扱えるだけの技術が求められます。
仕入れ担当の「バイヤー」
バイヤーは小売業における仕入れ担当者です。店舗に並べる商品をメーカーや問屋から買いつけを行うのが主な仕事です。
展示会などの買い付けだけでなく、販売現場との密なコミュニケーションや商談、不良品のクレーム処理など仕事は多岐にわたります。
ブランドの宣伝塔「プレス」
各ブランドの商品広報・宣伝担当者を担当します。主な業務は雑誌や各マスコミ媒体への商品情報の配信や商品の貸し出し、広告の掲載や商品発表会の企画・実施など幅広く、最近ではSNSなどでの発信も目立ちます。注目されることが多い仕事のため人気の職業です。
商品と消費者を繋ぐ「販売員」
販売員(ショップ店員)の仕事は、洋服と消費者を結ぶ大切な職業です。来客時の接客、売り場管理、作り手への情報のフィードバック、商品管理、クレーム対応など仕事は多岐に渡ります。
その他にも、広報・マーケティング・繊維技術・営業・プロモーション・スタイリスト・生産管理・品質管理・研究開発・VMDなど、繊維の研究から消費者への販売までアパレル業界は広く深いのが特徴です。
これらの職種は企業ごとに異なるため、業界研究と企業研究をしっかり行い、それぞれの特徴をしっかり把握しておくことが大切です。
アパレル業界の売り上げTOP5の企業
ファーストリテイリング 2兆1,300億円
業界トップシェア。ずば抜けた売り上げを誇っているファーストリテイリング。「ユニクロ」や「ジーユー」を展開しており、国内事業を維持しつつも、海外事業を強化しています。中国を中心に韓国、台湾、フィリピン、アメリカ、タイ、マレーシア、インドネシアなどで展開、欧州では2017年のスペイン出店をきっかけにスウェーデンやオランダでの展開に力を入れています。
「エアリズム」や「ドライ系シャツ」「ヒートテック」など、ファッションと機能を掛け合わせた商品を最大の武器としています。海外売上高、店舗数ともに海外が国内を上回り、売上高2兆円を超えるファーストリテイリングは他のアパレル企業を大きく引き離し、独走状態です。
しまむら 5,459億円
しまむらは、ファッションセンターしまむらの他に、ベビー用品などを取り扱っているバースデイの展開や、アベイル・シャンブル・ディバロの国内5業態、また思夢樂(台湾)・飾夢楽(中国)を海外2ヶ国に展開しています。
「しまむら」といえば、ファストファッションとしてリーズナブルな価格で販売しているだけではなく、豊富なデザインとターゲットが幅広い年代ということで人気を博しています。
しまむらは製造小売業ではなく、各アパレルメーカーから衣類を仕入れて小売をしています。アパレル業界の中でも「小売業」や「店舗展開」に特化した企業です。
青山商事 2,503億円
青山商事は、紳士服でお馴染みの「洋服の青山」を展開する企業です。日本全国に展開しているため知名度も高く、資本金625億400万円・従業員は単体6,034名、連結11,267名と業界最大手となっています。また「スーツ販売着数世界一」ということで、ギネスブックにも登録されています。
ワールド 2,498億円
ワールドでは、婦人・紳士・子供服等の企画販売をメインに行っています。
展開ブランドは「OZOC(オゾック)」「aquagirl(アクアガール)」「INDIVI(インディヴィ)」「UNTITLED(アンタイトル)」「THE EMPORIUM(ジ・エンポリアム)」など多くのブランドを展開しています。
直営店だけではなく、ECサイトでのインターネット販売にも力を入れており、通販事業でも成功を収めています。
オンワードホールディングス 2,406億円
オンワードは、株式会社オンワード樫山などを傘下に持つ大手企業です。「組曲」「ICB」「23区」「自由区」「anyFAM」などのブランドを展開しており、その絶大な人気からファンも多く、安定した業績を保っています。
平均年収が業界トップの983万円と就活生からの注目も高く、志望者が多いのが特徴です。
業界研究からわかるアパレル業界の魅力
「好き」を仕事にできる
「ファッションが好き」「このブランドが好き」というように、好きなことを仕事として選ぶことでモチベーションが保たれ、仕事へのやりがいに繋がります。
「好き」を仕事にできるのが、アパレル業界ならではの特色であり、魅力と言えるでしょう。
自分の関わった商品が世の中に出る
自分が関わった商品や、手掛けたものがお店に並んでいるのを見ると、何ともいえない達成感が味わえます。さらに「これ可愛い!素敵!」と消費者の率直な声が聞けるのも嬉しいポイントです。
他にも、ブランドの売れ行きが良かったり、雑誌やテレビなどで自社商品が積極的に取り上げられたりしているのを見ても、とてもうれしい気持ちになります。
「作り手目線」でファッションを楽しめることは、アパレル業界ならではの喜びです。
女性が活躍している企業が多い
アパレル業界は多くの女性が活躍している企業がほとんどです。そのため「女性の働きやすさ」を重視している企業が多く、結婚・出産・子育てと環境が変わりやすい女性にとって大きなメリットと言えます。
女性ならではの福利厚生を取り入れている企業も多く、安心・安定して長く働けるのもアパレル業界の魅力です。
「アパレル」業界研究まとめ
今回は、業界研究として「アパレル業界」に着目してご紹介しました。
年収が低い、業績が不安定、待遇が悪いとマイナスなイメージが多いアパレル業界ですが、実際は全く違うことがわかりましたね。業績トップの企業に入社することができれば、安定してキャリアを積むことが可能です。
また、これからのアパレル業界は「海外進出」の時代です。グローバルな事業展開に興味がある人にとっても、アパレル業界は最適な業界と言えるでしょう。この記事を参考に、業界研究をしっかり行って就活に挑んでくださいね。