就活では、自分自身の強みや得意とすることをいかにして企業にアピールできるかが大切になってきます。しかし、そもそも自分自身がどのようなことが得意か、どのようなことが苦手なのかを理解していなければアピールすることはできません。自分自身を知るために必要なのが自己分析です。
今回は、自己分析を行うことでどのようなことがわかるのか、自己分析のやり方などを詳しく解説していきます。
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自己分析を行うことで得られる4つのメリット
いきなり自己分析と言われても、どのようなことなのか分からない就活生も多いと思います。自己分析とはその名のとおり、自己を分析することですが、就活を行う前に自己分析を行うことで得られるメリットが4つあります。
①自分自身の強みが明確になる
自己分析を行うと、強みや弱み、得意不得意、価値観など、あまり気にしたことがない自分の性格などを発見することができます。また、自己分析を行うことで、企業に対してどのようなアピールをしたら良いのか、有効的な自己PRができるようになります。
自分が不得意なことが見つかったとしても、それを補うためにはどのようにしたら良いのかを考えるようにしましょう。すると万が一、採用担当者から「不得意なことは何か」と問われても「不得意なことは◯◯ですが、克服するために◯◯を行なっています」と答えることができます。苦手なことでも努力しているのだと企業側から良い印象を持ってもらえるでしょう。
②自分に適した仕事を見つける
自己分析の目的は「自分の性格を知り、どのような仕事に向いているか適性を理解すること」です。これまであまり自分自身の性格や考えと向き合う機会がなかったと思いますが、自己分析を行うことで、「何が好きでどのような仕事がしたいのか」「何が向いていないのか」がわかります。就活での選択肢は、数え切れないくらいありますので、その中から自分に合った仕事を見つけることは困難です。
すでに「この業界で働きたい」と決めている場合でも、自己分析を行い自分の性格や能力がわかると他の業種が適していると気づくこともあるかもしれません。
職業ごとに就活生に求められる能力は違いますし、人それぞれ仕事の向き不向きもあります。自己分析を行い、自分自身としっかり向き合い職業を探すようにしましょう。
③これからのビジョンが明確になる
自己分析は、就活で企業に対して自分自身をどのようにアピールするか方針を決定するために必要ですが、就活だけのために行うわけではありません。無事に内定をもらい、社会人として働くにあたり将来自分がどのようなビジョンを確立させたいのかを明確にするのも自己分析を行うメリットです。
就活では企業から内定をもらうことを最優先に考えてしまいますが、ただ就職するだけではなく、その企業に入社してどのようなことをやってみたいのか、どのような役職に就きたいのかなど自分が求める将来を現実とすることが大切です。
逆に、入社後のビジョンが見えていないと「自分とこの企業は合わないのかもしれない」と感じてしまうかもしれません。
④企業に的確にアピールするため
自己分析を行うと、企業に適した人材であるとアピールすることができます。自身の強みや弱みはもちろん、今後のビジョンについてもしっかりと伝えることができるので、採用担当者としても採用後の流れをイメージしやすくなります。
就活では自己PRをする機会がとても多いですが、肝心なのは話す長さではなく話の内容の濃さです。自己分析を通して、自分がこれだけは伝えたいこと、採用担当者の質問に対して的を得ることができる回答を事前に用意するようにしましょう。
自己分析はノートを使うと効果的
何か書類を作成する場合は、パソコンで作業を行う人がほとんどだと思います。ペンを持ってノートに書くなんて久しくしてないという方でも自己分析を行う場合はノートとペンを用意するようにしてください。
ノートを使い、手を動かして書くことで自分自身の考えと身体感覚が連動し、アイデアが出やすくなる効果があります。自己分析では、これまでの人生を振り返ったり、過去に経験したことから自分の強みや価値観を発見していく作業ですので、アイデアが出る方法で行った方が良いのです。
スマートフォンやパソコンの方が手軽にできるし、やりやすいと思っている方でも、一度ノートとペンを持って自己分析をやってみましょう。
自己分析ノートの書き方
ここからは自己分析をどのような流れで行い、どのように書いていけば良いのかを解説していきます。
①B5以上のノートを用意する
まず始めに行なってほしいのは自己分析で使うノートを用意することです。たくさんの文字を書いていくことになりますので、胸ポケットに入りそうな小さなサイズではなく、一般的な大学ノートのB5以上がおすすめです。必要であれば、どんどんノートに書き足していくので十分なスペースがあるノートを選ぶことがポイントです。
また、自己分析のノートは他の用途として使用しているノートを使うことは避けるようにしましょう。内容になっては、一冊でまとまり切らないこともありますし、就活を行っていると見直すこともあるかもしれません。ささっと見ることができるように、自己分析専用のノートを用意しましょう。
②自分史を作成する
自己分析を行なっていく上で、大切なのがこれまで自分がどのような経験をしてきたのか人生を振り返ってみることです。人生を振り返るためには、自分史を作成してみましょう。過去の経験を全て書き出してみることで、自分を客観的にみることもできます。
自分史を作成するにあたり、いつからいつまでの範囲で書き出せばいいのか分からない方がいるかもしれません。より具体的に自分自身を知るためには、生まれてから現在までの歩みを書き出してみると良いでしょう。自分の伝記を作るような感覚で楽しく作業を行っていきます。
「何を頑張ったのか」「この時はどんな気持ちだったか」などがわかることで、自分の喜怒哀楽や価値観を理解することができます。文字として可視化することにより、自分の気持ちが理解しやすくなりますので、「チームとして動くことが楽しい」「ありがとうと言われると気持ちが明るくなる」など仕事に求めていることを明確に分かるようになります。
一見、生まれた頃や幼少期の経験は就活には関係ないように思ってしまいますが、実は幼少期の経験が現在につながっている可能性もゼロではありません。自分自身の本質は、幼少期に眠っている場合もあるからです。
思い出すことができる部分については、より細かく記入するようにしましょう。
自分史を作る場合の注意点
これまで自分が歩んできた人生を振り返る自分史ですが、作成するにあたり注意してほしい点があります。それがこちらです。
- 事実のみを記載する
- 未来の話は書かない
- 自分のペースで作成する
就活で自分をどのように見せるかを考えるために行う自己分析ですが、実際に自分が経験したことのみを書くようにしましょう。面接や自己PRで、話せるような内容がないからと言って嘘を書くことはよくありません。
仮に、嘘の話を面接で話したとしても採用担当者はすぐに嘘だと分かってしまうことでしょう。そうなった場合、とても印象が悪いので嘘をつくことは絶対にやめましょう。
また、未来の話も実際に起きたことではないので記載するのはNGです。未来のことを考えるのは、自己分析ノートが完成してからですので、自分史を作成しているときは未来のことは考えないようにしましょう。
就活は周りの人と比べて動きがちですが、焦ってもいいことはありません。自分のペースで進めていくことが大切です。
③マインドマップを作ってみる
自分史が完成すると、次はマインドマップを作成します、マインドマップとは、思考をさらに可視化する方法です。たくさんのマップを作成するのではなく、一つだけテーマを決めて、それに関して連想できるワードを数珠繋ぎのように繋いでいく方法です。
自分史で書き出したテーマに、「なぜそのような行動を取ったのか」「なぜそのように考えたのか」「この出来事がきっかけで性格が変わった」などを当てはめていくと思考のプロセスを明確にすることができます。これらのプロセスをより深く理解することで、「私には◯◯と思うような考え方ができる」「この性格は短所だと言える」など強みや弱みが分かるようになります。
就活では、自分の性格を論理的に述べなければいけません。これまでの経験を分析して導き出した内容だと自分自身も話しやすいですし、採用担当者も聞いていて理解がしやすくなります。
このマインドマップを作成する場合は、テーマは特に決まっていません。ですので、何をテーマにしたら分からない場合は、就活や仕事に求める条件などとしても良いと思います。
このマインドマップを作成することで大切なのは、自分が本当に知りたいことの設定であり、そこからできるだけ多く言葉を繋いでいくことです。たくさんのマインドマップを作成しても良いですし、複数のマインドマップが1つのマップになることもあるかもしれません。
④ジョハリの窓で他人からの意見をまとめる
参考:さんいんち / PIXTA(ピクスタ)
ここまで自分で自分のことをまとめてきましたが、就活では他人からの見られ方も重要となってきます。そのため自己分析でも自分からの目線ではなく、他人から見た自分への意見もまとめるようにしましょう。
そこでおすすめなのがジョハリの窓と呼ばれるフレームワークです。ジョハリの窓では、自分が知っている自分の特徴、他人が知っている自分の特徴の一致、不一致を窓のように見える4つの枠に分類することで自分と他人の理解のズレに気づくことができます。
周囲の人に聞くことでより客観的な視点から自分を見つめ直すことができ、長所も見つけやすくなります。家族や友人、先輩や後輩などなるべく多くの人に意見を求めて、自分がどのような長所を持っているのかを考えましょう。
もしも、普段から他人に言われていることがあればそれらも書き込むことでより深く自分自身を理解することができます。
⑤自問自答を繰り返してさらに深堀する
これまで行ってきた、自分史やマインドマップを作成するのは自分自身についての情報を整理するために行ってきました。情報の整理ができたら、自己分析をさらに深めていく必要があります。自己分析をさらに深めていくためには、整理した情報をもとに自問自答を繰り返して深堀することが大切なのです。
自問自答を繰り返しながら、自分のこれまで、長所や短所を深堀していくには、自分自身の過去や考えに対して「なぜ」と問いかけていきます。なぜどのように感じたのか、なぜそのような行動をしたのか、などひたすら「なぜ」と問いかけることで自分自身の行動原理や深層心理などが分かるようになってきます。
「なぜ」と疑問に思うことは、一度やれば良いのではなく、同じテーマに関して複数回問いかけていくことが大切です。「答えはこれなんだ」と完全に答えが出るまで自分に問いかけを行うことで自分自身の本質をより知っていきましょう。
就活中も自己分析シートを更新しよう
作成した自己分析ノートは、就活ノートとしても活用することができますので途中からは就活中に感じた思いを書くようにしましょう。
企業に対して感じたことをノートに書く
就活を行っていると、これまで自分でも分からなかった自分の考えに気づくことがあります。
- 働いているママさんが多いから私も産後仕事復帰できそう
- 新人にも仕事を任せてもらえるような社風だった
- 海外での研修を行う機会があるので自慢の英語が活かせそう
- 先輩後輩関係なく社員同士が和気あいあいとしていて働きやすそう
上記のように、就活を行っていて感じたことは忘れずにノートに書くようにしましょう。大切なことは、どんなに些細なことでも感じたことは全てノートに書き残すということです。ノートに書いた時は、些細なことだと思っていてもそのことが原因で大きな結果につながる可能性があるかもしれません。
他の人に見せるためのノートではありませんので、感じたことは全てノートに残すように心がけましょう。
就活での出来事も「なぜ」で自問自答する
自己分析シートで、「なぜ」と自問自答することが大切だと説明しましたが、就活中でも「なぜ」と自問自答することが大切となってきます。例えば、先ほど「働いているママさんが多いから私も産後仕事復帰できそう」という考えに「なぜ」と問いかけをした場合、以下のような流れで自問自答していくと良いでしょう。
- 働いているママさんが多いから私も産後仕事復帰できそう
- なぜそのように思ったのか
- 将来的には結婚して子供が欲しいから
- なぜママがいる企業が良いのか
- 出産後も仕事をしたいと思っているから
この場合だと、職場にママさんが多くいることがきっかけで自分も子供が産まれても仕事をしたいと思っていることに気づくことができました。そのため、この方の場合は育児休暇の普及率や産後仕事復帰した際に、ママが働きやすい環境が整っているかも企業を選ぶチェック項目として追加されると思います。
「なぜ」と自問自答することで、普段就活を行っているだけでは気づくことができない自分の気持ちに気づくことができます。このような流れでどんどん深掘りを行っていると、自分の性格、求めている環境に適している企業を選ぶことができると思います。自分に適している企業を選んで入社することができれば、ミスマッチで退職する確率も下がるのではないでしょうか。
自己分析ノートの書き方をマスターして就活に活かそう
就活で必要なエントリーシートと履歴書に記載する自分の強みを理解するために必要な自己分析ノート。自己分析ができてから初めて自分自身の強みがわかるようになります。しかし、ただ強みがわかるだけでは就活で活かすことはできません。
大切なのは採用担当者にわかるように文章でしっかり伝えることです。強みや弱みは面接で必ずと言っていいほど聞かれる質問ですので、自己分析ノートを使ってきちんと答えられるようにまとめておくことが大切です。文章として伝える際には、「なぜそれが私の強みなのか・弱みなのか」という倫理性も大切となります。